閉じる

ニュース・フラッシュ

2009年11月9日 ロンドン フレンチ香織

南ア:鉱山国営化に関し副大統領は否定

 南アのMotlanthe副大統領は、11月3日、南ア鉱業協会の120周年記念会合にて、鉱山国営化の要望が上がっている事に関連し、「現在のところ鉱山国営化の計画は無い」と発言した。
 鉱山国営化の要求は、2009年7月上旬、南ア与党のANC (アフリカ民族会議青年同盟)及びCOSATU (南ア労働組合会議)が、再提案したことがきっかけで注目されている。南ア鉱業協会のNkosi会長は11月3日、同国経済における鉱業の重要性を強調し、「不況の中で鉱業部門の国有化の要求が高まるのは論理的」と評した。COSATU関連組織で社会主義派の“South Africa National Union of Metalworkers (Numsa)”は同日、世界の億万長者ランキングの発表を機に、上位に選ばれた黒人有力実業家のTokyo Sexwale氏や、Patrice Motsepe氏の所有鉱山を国有化すべきと主張した。また、ANC事務局長のGwede Mantashe氏は11月5日、「鉱山国有化の要求は、散発的なアプローチではなく、今後は、具体案をもって提唱していきたい」と述べた。
 なお、IMFの10月発表によれば、南アのGDP成長率は、2008年は+3.1%であったが、2009年は-2.2%と予想されている(※1)。南ア国家統計局の10月発表によれば、2009年Q3の鉱業雇用者数は、同年Q2比2万人減少している(※2)。報道によれば、鉱業による歳入増と雇用問題解決に向け、政府内では、鉱山国有化よりもむしろ、付加価値化政策(Beneficiation Strategy)を重視している模様である。また、政府は、近日発表予定の鉱業憲章見直し(鉱業権益譲渡や、雇用スキル向上等)に注力している。しかしながら、南ア鉱業アナリスト等からは、「副大統領発言にある『現在のところ』という修飾語は、経済悪化により、今後は鉱山国有化が検討される可能性を残し、また、鉱業投資家に懸念を与える」との批判の声が上がっていた。
 ※1:IMF、http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2009/02/pdf/text.pdf
 ※2:SA STATS、http://www.statssa.gov.za/publications/P0211/P02113rdQuarter2009.pdf

ページトップへ