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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ベースメタル
2009年12月15日 サンティアゴ 菱田 元

チリ:COCHILCO、銅鉱業の二酸化炭素排出量は2020年までに倍増と予測

 COCHILCOの(チリ銅委員会)企画調査部Ana Zuniga部長は、「チリ銅鉱業が現在の生産方法を採用し続け、予測される成長率を続けると、2020年までに二酸化炭素(CO2)排出量は2倍になるであろう」と12月2日にサンティアゴで開催されたCOCHILCO主催の講演会で述べた。
 この中でZuniga部長は、チリの銅生産量が予測どおり2009年の538万tから2020年の738万tに増大すると、CO2排出量の予測値は2009年の1,800万tから2020年の3,600万tに増加すると述べた。
 銅鉱業からの二酸化炭素排出は、将来チリがどの程度汚染されるかを決定する重大なものであり、Zuniga部長は「チリは緩和対策を講じなければならない」と述べた。
 COCHILCOの予測は、各鉱山会社が今日と同様の鉱石処理方法を取り続ける、または通常どおりのビジネスを続け、汚染防止の更なる努力をしないとの条件に基づいている。しかしながら、もし鉱山会社がエネルギー使用合理化努力を行った場合、例えば代替原料(代替エネルギー源)の使用や、鉱石処理のための電力使用の減少を行った場合、排出割合は2020年には300万tまで削減可能である。
 この予測に当たってCOCHILCOが考慮した要素の内の一つは、銅鉱石品位の更なる低下である。同量の精製銅を生産する場合、鉱石の銅品位が低くなるほど必要エネルギーは増す。
 もう一つの重要な要素は、主として銅山に電力供給しているSING(チリ北部電力グリッド)の石炭火力発電所の数がここ数年でかなり増加することで、CNE(チリ国家エネルギー委員会)によると2020年にはSINGの全発電量の87.7%を占めることになる。これにより、2020年のSINGのCO2排出量はSIC(チリ中央電力グリッド)の3.2倍となる見込みである。
 2020年にチリ銅鉱業が排出するCO2については、24%が直接排出、76%が電力消費を介した間接排出と予測される。チリは世界最大の銅生産国で、今月にはOECD加入の承認が期待されているが、OECDが懸念している問題の一つが同国のCO2排出である。

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