ニュース・フラッシュ
2010年1月16日
リマ
山内英生
ペルー:Antamina鉱山の利益再投資計画に対し、Ancash県自治体等が反発
Antamina銅・亜鉛・モリブデン鉱山の利益再投資による増産計画が政府承認によって決定したことに対し、Ancash県内の郡や区等や団体から、所得税・カノン税収の低下を懸念した反発の声が上がっている。
Antaminaは、既に1,288百万US$の投資による増産計画を発表しているが、La Republica紙によれば、この内、900百万US$が利益再投資の対象となっている。即ち、本来所得税として納付されるべき270百万US$(900百万US$の30%)が国庫に納税されないことになり、その結果Ancash県へのカノン税(所得税の50%)が低下することになる。
市民団体“Cooperaccion”のCuadro副会長は、Antaminaが発表しているカノン税減少の補償対策は不十分であるとしたほか、同鉱山によって納付される所得税の減少で、カノン税還元地域だけでなく、中央政府の予算によって実行されている貧困層向け食料プログラム等にも影響が及ぶとの懸念を示した。
一方、カトリカ大学のFrancke経済専門家は、利益再投資を認めている税安定化契約そのものを見直すべきであるとし、現在のペルーで活動する企業に対し、90年代に開始された同契約によって認められた恩恵を与え続ける必要はないとの見方を示したほか、これらの企業からも所得税を徴収し、将来に備えて国庫に収納することが重要であるとの認識を示した。
