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ニュース・フラッシュ

2010年1月27日 リマ 山内英生

ペルー:鉱業問題専門家、社会争議増加を警告

 Gala鉱山次官は、2010年の鉱業投資が前年度のほぼ倍となる5,000百万US$となる見通しを発表した。これを受け、鉱業問題専門家のDe Echave氏は、鉱業投資の増加は鉱業活動の拡大を意味しており、これに比例して反鉱業活動や社会争議も増加する可能性を指摘した。
 同氏は、2009年に鉱山各社が納付した所得税が60%以上減少したことから、2010年の鉱山地域の県政府や自治体に対する鉱業カノン税(前年の所得税の50%)は前年度の半分以下になり、鉱山地域の不満が高まること、また、2010年は県知事選挙が実施されることからも、鉱業が政治的な批判の対象になることを予測した。
 これに対してGala鉱山次官は、社会争議の発生に懸念を表明し、政府は争議防止を目的とした、より早急な対応を行うべきであると認めた一方で、企業に対しては、周辺自治体との間に存在する問題を包み隠さず政府へ報告し、争議の問題解決に協力するよう要請した。
 また、住民争議の多くは実在する問題ではなく、コミュニケーション不足から生じる住民側の誤解が原因となっていることが多いとし、企業からだけでなく、政府や企業以外の民間セクターからも明確な情報伝達を行うことが必要であると説明した。
 一方、De Echave氏は、鉱業活動における政府の存在は未だ不十分で、地域住民の権利保護や法規の遵守が徹底されていないとしたほか、鉱業を取り巻く社会セクター間に大きな不信感が存在していることを指摘した。

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