ニュース・フラッシュ
2010年2月8日
リマ
山内英生
ペルー:Tamboraque廃さい問題、移転を巡り争議発生
約1年半前、Lima市の主水源であるRimac川及び中央街道に、約50万tの廃さいが流出する危険性があるとして非常事態宣言が発令されたTamboraque廃さい堆積場は、未だに移転計画が実行されておらず、2010年1月7日には計11回目となる非常事態宣言の延長(60日間)が行われた。
廃さい堆積場には一時的な対策として安定化処理が施されているものの、崩落の危険は継続しており、責任者企業であるMinera San Juan社は廃さいをより安全かつ汚染被害を最小限とするため、Huarochiri郡Chicla村のChnchan渓谷で、周囲2 kmが無人地帯の土地40 haに廃さいを移動することを計画し、2009年9月には移転作業に関するEIA(環境影響評価)をエネルギー鉱山省が承認した。
しかし、EIAの作成が行われていた最中の2008年3月に、Chicla村が同土地内に貯水場を建設し、Chicla村長は、「Tamboraque廃さい危機は、廃棄物の新たな移転先を確保したいMinera San Juan社による作り話である。」との見解を示している。
更に、2010年1月には、廃さいによって影響を受ける地域の住民らとMinera San Juan社員の間で暴力的な衝突が発生し、住民らは、EIA作成において事前の相談は受けなかったと主張している。
Minera San Juan社は、2008年5月から緊急事態宣言により操業を停止しており、EIAが承認済みであることから廃さい移転の準備はできているにもかかわらず、Chicla村を中心とする住民の反対によって、移転が実行できないと訴えている。
