閉じる

ニュース・フラッシュ

鉱種:
ベースメタル
2010年4月13日 サンティアゴ 大野克久

チリ:銅鉱業の今後

 4月9日付け一般紙等に、今後のチリ銅鉱業についての一考察が掲載された。
 SERNAGEOMIN(チリ地質鉱山局)が2007年に把握したところ、チリの銅資源は鉱物資源量ベースで218百万t、鉱物埋蔵量ベースで150百万tであり、現在約5.4百万t/年の銅鉱山生産があることから、今後約70年間は銅生産が継続される見込みである。
 しかし、現在最も多く採掘されている硫化鉱(資源量、埋蔵量の67%を占める)の品位について、2001年は平均0.8%であったが、現在は0.7%まで低下している。一方、SxEwの生産量は年平均8%で増加し、2009年は2,112千tとなり、輸出向け銅精鉱生産量(1,754千t)を上回った。
 BHP Billitonのベースメタル部門CEOによると、20年前と比較して大鉱床発見が減少してきており、今後は銅価格を予測しながら、銅生産コスト上昇という問題に対応しなければならなくなるとコメントしている。
 チリ銅生産の将来を考えると探査は重要であるが、チリは3年前から南米で最大の探鉱投資先ではなくなっている。2009年の世界全体の探鉱投資は73.2億US$(ウラン除く)で、このうちチリで3.5億US$が投資され、うち73%が銅で占められた。
 2009年のチリの探鉱投資の52%はCollahuasi、Chuquicamata、Escondidaと繋がるConcosクラスターに対するものであった。
 チリの銅生産の70%以上を占めるチリ北部地域の35%に探査鉱区が設定されているが、実際に探査されているのは1%程度である。
 CODELCOや資源メジャーが有望と思われる探鉱鉱区を押さえているが、これらの鉱区で探鉱が実施されないと地科学的情報の不足等、チリの銅探鉱ポテンシャルに悪影響を及ぼすことになる。
 チリでは、鉱区を手放す義務やインセンティブ、開発投資の義務も課されていない。もはや、資源メジャーにとってチリ鉱山開発操業は、ハイリスクの事業では無くなっている。

ページトップへ