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英:2009年プラチナ需給見通し(Johnson Matthey発表)
Johnson Matthey Plc(本社:ロンドン)は17日、2009年のプラチナ需給分析と、今後の価格の見通しを発表した。同社の調査によると、2009年のプラチナ市場バランスは8.86t過剰と、3年ぶりの供給超過と分析された。これは、供給が2008年レベルと同等の184.1tであったにも拘らず、世界的不況が原因で世界のプラチナ需要(リサイクルを除く純需要) * が、2008年比8.5%減の175.3tと大幅な減少がみられたからである。特に、欧州では2009年、世界的不況によって自動車売り上げが不調であったのに加えて、経済性の良い小型車が流行したことにより、ディーゼル車の需要が減少。これが主な原因となって、欧州でのディーゼル車産業が低迷し、2009年における世界の自動車触媒用プラチナ需要は前年比39%減の69.4tへと縮小した。
他方、2009年における世界の宝飾用プラチナ需要は、中国の需要増により、前年比46.1%増の93.6tへと拡大。また、2009年の投資用プラチナ需要は、前年比18.9%増の20.5tと推定された。投資需要の増加は、2009年は日本でのプラチナ地金(Large Bar)の販売は減少したが、経済的不安により、ETF(上場投資信託)の需要が3.1t程度から12.1tに急増したことによるものである。なお、Q & Aでは、「プラチナETFは、金の代替では無く、今後の産業用需要の成長が期待されている理由から拡大している」と回答されていた。
2010年のプラチナ需給は、均衡した状態に近づくと予想された。これは、需要の成長が、鉱山生産の低速な増加を上回ると予想されるからである。また、自動車触媒用及び工業用の需要回復が期待され、宝飾用の需要も2009年程度までにはいかないが高水準に推移、そして、2010年1月に米国ETFが開始されたことからも、金利が低く、金価格が現在の記録レベルで推移すれば、今後も投資用の需要が期待されるとして、今後のプラチナ価格は1,600~2,000 US$/ozのレンジと予想された。
なお、自動車生産大国として注目されている中国は、ガソリン車が主流であるため、自動車製造の増加により、自動車触媒に対するパラジウム利用が増えているが、「北京では2008年にEuro 4レベルの新排出ガス規制が導入されたが、2011年7月には完全義務と化す。自動車触媒では、プラチナの100%代替不可能で、また、触媒作用の強化にはプラチナが必要となるため、中国での自動車触媒用のプラチナ需要も伸びるであろう。」とコメントしていた。但し、「現在も、世界の経済回復、及び中国の経済成長の伸びには、懸念が残っている」と慎重に分析していた。
2009年も自動車触媒用プラチナ需要は全需要の約31.7%(パラジウムでは約52.1%)と依然として大規模を占めているが、白金族は希少金属であるため、自動車産業の顕著な成長がみられるまでは、全体需要の1割しか満たさない投資用需要も大きな価格の下支えになっていると感じられた。また、2009年に宝飾用プラチナ需要が93.6tと、自動車触媒用のプラチナ需要の69.4tを上回っていると報告されていたことから、宝石用需要は、プラチナ価格にとって、重要な変動要因となっているという印象を受けた。
* プラチナ純需要(175.3t) = プラチナ総需要(219.0t) -リサイクル(43.7t)
