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カザフスタン:ロシアARMZ公社、Uranium One社の株51%取得に署名
ロシア国営原子力企業Rosatom(旧・ロシア原子力庁の機能を継承)傘下のARMZ公社は6月8日、カザフスタンを中心にウラン生産を行うUranium One社(本社:Toronto、以下U1、TSX & JSE上場)に610百万US$の出資を行うことによって、U1の新株356百万部を獲得する公式買収契約に署名した。本取引が成立すれば、ARMZは、現行のU1保有株23.1%から51%へ増資することとなる。また、これによって、U1には引き換えに、ARMZが参画しているカザフスタン南部に位置するAkbastauウラン鉱山の権益50%、Zarechnoyeウラン鉱山の権益49.67%が譲渡される予定である。
ARMZ公社は、Rosatom傘下のウラン上流開発企業で、ロシア、カザフを中心にウラン生産を行う世界第5位のウラン生産企業である。報道によれば、2009年に経済危機による鉱山アセットの価値下落の時期を好機として、ロシアがウラン権益を獲得するように、政府がRosatomに20億US$を支援した模様で、今後のウラン市場の逼迫に答えるべく、Rosatomが2010年5月末、ナミビアとウラン開発協力に関するMOUを締結している。さらに、同社がU1の多数株主となることによって、ウラン供給確保のグローバル展開を目指す。
U1は2009年6月、同社の株式17%を引き換えに、ARMZから、カザフスタンのKaratouウラン鉱山の権益50%を買収している。U1は、本契約によって、さらなる鉱山2件の権益を獲得し、同社のカザフスタンにおける生産能力を、現行比60%増の16百万lb(7,264t)へと増強すると予想されており、これによって、U1は2011年までに世界のウラン生産トップ5に入ると予想されている。
なお、東京電力㈱、㈱東芝及び国際協力銀行は2009年2月10日、共同でカナダBC州にJapan Uranium Management Inc.(JUMI)を設立し、カザフスタン、米国及び南アでウラン開発を手掛けるU1株19.95%相当を取得することに合意。現在、JUMIはU1の転換社債を引き受けている。一部の鉱業紙によれば、市場分析家らは、ARMZによる51%増資のJUMIへの影響は未だ不鮮明と見ており、その他、U1の小数株主はARMZが大株主となることに対して懸念を抱いているであろうと推測している。このことからも、8月末のU1株主総会までは未だ本取引の前途は見通しがつかず、U1の公式発表のとおり、本取引の完了は2010末までを目処として、今後も議論が続くであろう。
