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ニュース・フラッシュ

2010年6月21日 ロンドン 萩原崇弘

EU:欧州鉱物資源戦略、レアアース、PGM等14種の鉱物資源を不可欠なものと選定

 EU委員会は、6月17日、欧州鉱物資源戦略であるRaw Material Initiativeの一環として、「EUにとって不可欠な鉱物資源(Critical raw materials for the EU)」という報告書を発表した。
 本報告書では、41種の重要鉱物の候補が詳しく分析されており、EUにとって不可欠な14種の鉱物資源が選ばれている。選ばれた14種とは、アンチモン、ベリリウム、コバルト、フローライト(蛍石:CaF2)、ガリウム、ゲルマニウム、グラファイト、インジウム、マグネシウム、ニオブ、PGMs(白金族)、レアアース、タンタル及びタングステンである。
 これらが選ばれた経緯は、他の鉱物資源と比較して、供給不足に陥るリスクとそれに伴う経済への影響が大きいためである。具体的には、供給不足に陥るリスクとして、生産国の政治・経済の安定性、生産の集中度、代替可能性及びリサイクル率による供給リスクだけでなく、環境面のカントリーリスクとして、資源国の環境保護の状況が鉱物資源の輸入先として適切かどうかの2面から分析されている。
 一方、今般の作業の中では、2008年11月に発表された欧州鉱物資源戦略(Raw Material Initiative)自体について、備蓄などの提言を盛り込む等の見直しは行われなかった模様である。
 そのため、今回選ばれた14種の鉱物資源については、従来同様、戦略の柱である、[1]国際市場における鉱物資源アクセスの確保、[2]EU域内からの持続的供給体制の確立に向けた環境整備、[3]リサイクルや省資源化の推進による鉱物資源消費の削減の加速化を、メンバー国が個々の事情を踏まえて実施していくことになる。
 また、この14種の鉱物資源リストは、5年ごとにその選定方法と共に見直される予定とのことである。
 なお、EUは、本報告書のプレス発表の中で、欧州鉱物資源戦略の一環として、6/8に行われたアフリカ連合とのパートナーシップに関する議論の中で、鉱物資源分野に係る相互協力と協同作業を発展させることで合意したとしている。
 また、欧州鉱物資源戦略としては、2010年の秋を目途として、2008年の戦略の進捗状況などが発表される予定である。

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