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ニュース・フラッシュ

2010年6月28日 ロンドン 萩原崇弘

ドイツ:ドイツ、秋にも新鉱物資源戦略を策定、主な項目を発表

 6月21日、ライナー・ブリューデルレ(Rainer Brüderle)ドイツ連邦経済技術大臣は、産業界、企業、貿易団体等の代表との間で行われた第2回原材料対話の中で、「我々ドイツが優れたアイディアを製品とするためには、原材料がどうしても必要である。近年、原材料の安定供給が困難さを増大させる中、これこそがドイツの生産と雇用を生み出す唯一の方法である。」と述べ、以下のような項目を秋に取りまとめ予定の新しい鉱物資源戦略に盛り込む予定であると発表した。
 資源国との一層のWin-Win関係を目指す新たな原材料パートナーシップの構築
 新しくドイツ原材料庁を現在の連邦地球科学・天然資源研究所(BGR)の下部組織として創設し、産業界や行政機関への情報提供、アドバイス、産業界とのR&D、資源国との一層の協力等を実施
 金属価格のボラティリティ防止のため、産業・金融業界が協同するための何らかの機関の必要性(ただし、政府は民間同士の協同には介入しない。)
 国内鉱床からの原材料資源の開発・生産、リサイクルの推進(二次的鉱床として一次鉱床の開発と同様の位置づけ)
 原材料貿易に係るアンタイドローン保証、輸出保険等の使い勝手の向上、国際市場における貿易歪曲の低減のためのEU各国と協調した資源国との協議
 なお、ドイツでは、従来から経済技術省を筆頭に、外務省、食料・農業・消費者保護省、環境省、財務省、経済協力省、教育・研究省による委員会(IMC)が創設され、2007年3月には鉱物資源戦略2007(Elements of Raw Materials Strategy of the German Government)がまとめられていた。今回の新戦略はこの大幅な改訂となる。
 去る6月17日、EU委員会は、2008年11月に発表された欧州鉱物資源戦略である’Raw Material Initiative’の一環として、「EUにとって不可欠な鉱物資源(‘Critical raw materials for the EU’)」という報告書を発表したが、年内を目途に原材料アクセスを確保するための同イニシアティブのコミュニケを発表したいとしており、ドイツもこの動きに呼応して、秋までに自らの新しい戦略をまとめる考えである。
 また、ドイツ経団連(BDI)は、ドイツ産業にとって必要な鉱物資源は14種に留まらず、また、この問題は、経済政策だけでなく、外交、環境、研究開発など様々な政策が関係する包括的な課題であり、政府が包括的な新しい鉱物資源戦略を策定するとの動きを歓迎するとのコメントを発表している。

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