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ニュース・フラッシュ

2010年7月5日 シドニー 原田富雄

豪:資源超過利潤税導入を見送り、新たな鉱物資源利用税を導入

 2010年7月2日、連邦政府が資源超過利潤税導入(RSPT)を見送り、新たに鉱物資源利用税(MRRT)の導入が発表した。RSPT導入にあたっては、豪州資源に投資を行う国内外の資源業界から国際競争力を疎外するものとして導入反対の声が挙がり、野党自由党も資源業界の動きに同調するなど、今秋にも予定される連邦議会選挙の争点の一つとされてきた。こうした中、2010年6年24日に新首相に選出されたギラード首相は、資源業界との間で交渉により事態打開を図るとして、資源大手のBHP Billiton、Rio Tinto及びXstrataの3社との間で着地点を模索、合意に至ったものがMRRTとして発表された。
 MRRTは、RSPTに比べ課税率の引き下げが行われるとともに、対象鉱種を鉄鉱石及び石炭の2鉱種に限定されたことから、豪州鉱業協会は歓迎の意向を示しているが、ジュニア企業や準鉄鉱石大手を中心として、交渉の席から外れた資源関係者からは批難の声が挙がっている。また、RSPTにより2%の法人税率が引き下げられる予定であったが、MRRTにより引き下げ幅が1%となったことから、資源以外の産業界からは不満の声が挙がっている。
 与党労働党は、資源業界との対立による国民の支持率低下に歯止めをかけ、連邦議会選挙に臨みたいところであるが、MRRTにも反対姿勢を示す野党が過半数の議席を有する連邦上院の構図もあり、2012年7月1日導入に向けたMRRT法案が国会で承認されるかについては不透明な状況となっている。

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