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ニュース・フラッシュ

2010年7月19日 ロンドン フレンチ香織

米:下院科学技術委員会の議長、欧州連合とレアアース分野での共同宣言を行うと示唆

 2010年7月14日のEurActivによれば、米国議会及び欧州連合は、共通に関心のある戦略分野での相互協力の一環として、情報共有のために両者が公聴会を設け、レアアースなどの不可欠な鉱物原料に関する共同宣言を行う可能性があることを示唆した。
 背景として、今日、レアメタルは、地球温暖化防止を目的とした省エネルギー、環境保護に寄与する製品の開発で主要な役割を果たしているが、中国がその供給の95%、需要の60%を占めており(米地質調査所調べ)、また、今後の中国によるレアアース輸出規制及び価格支配などが懸念されている。この対策として、米国と欧州連合(EU)は2009年6月下旬、中国がレアメタルなどの輸出を制限しているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴した。また、レアアース供給確保に向けて、欧州連合は2010年6月、EU Raw Materials Initiatives(2009年11月)の一環として、レアメタルを不可欠な鉱物資源に選定し、米国は2010年3月、Rare Earths Supply-Chain Technology and Resources Transformation Act of 2010(略名:RESTART)法案を発表している(*1に原文公表)。
 米国下院科学技術委員会のBart Gordon議長は、本協力によって、鉱物資源の供給に関する情報共有を目的とした公聴会をブラッセル及びワシントンに設け、また、WTO提訴での課題に対するEU-US共同アプローチを強めるよう提案している。また、同氏は、「欧州連合とのレアアース分野での協力が、リサイクルの向上、代替物質の開発、及び天然資源の効率利用につながり、そして、知的所有権、サイバー・セキュリティ、エネルギー保全、CCS(二酸化炭素回収貯留)などの分野での相互協力も、助長できるかもしれない。」と述べていた。なお、米国は現在、国家のレアアース戦略を再審議しており、本協力が締結されれば、米レアアース法案内容が変更される可能性があると予想されている。
 参考資料:
  *1:米レアアース法案の内容(2010年3月発表)
    http://thomas.loc.gov/cgi-bin/query/z?c111:H.R.4866:
  *2:EurActiv(2010年7月14日)
    http://www.euractiv.com/en/sustainability/eu-us-to-collaborate-on-rare-earths-news-496286

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