ニュース・フラッシュ
2010年7月27日
シドニー
原田富雄
豪:連邦議会選挙結果は鉱物資源利用税に影響
2010年7月25日、8月21日の次期連邦議会選挙を前にギラード労働党党首(現首相)とアボット野党自由党党首によるテレビ討論が開催され、連邦政府が7月2日に導入を発表した豪物資源利用税(MRRT)についても議論となった。ギラード党首がMRRT導入により2013/14年度の政府予算の黒字化と法人税率引き下げによる景気浮上に言及したことに対し、アボット党首はMRRTは「fake mining tax fix」と指摘、ジュニア企業は排除したものとして産業界の不満に油を注ぐものとして批判した。
MRRT導入は、大手資源企業3社(BHP Billiton、Rio Tinto、Xstrata)との妥協の産物として、準鉄鉱石大手のFortescue Metals GroupやAtlas Iron、BC Iron等の磁鉄鉱鉱山、ジュニア企業及び炭層メタンガス開発事業者を中心として、税制内容に反対する声が挙がっており、ジュニア鉱山、探鉱業者の団体であるAMECは政府の批判広告を行うことを発表し、Fortescue Metals Groupはこうした動きに資金援助することを表明している。特に、連邦上院では与野党のパワーバランスが拮抗しており、資源開発に反対姿勢を示すグリーン党がMRRTに関して労働党と手を組んだ場合、法人税率軽減の観点からMRRTへの課税率の引き上げを公言しており、反対広告は選挙結果を見据えた動きといえる。