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ニュース・フラッシュ

2010年8月9日 リマ 山内英生

ペルー:La Oroya製錬所問題、債権者召集による清算手続き実施の見通し

 8月4日付け地元各紙によると、Doe Run Peru社に対して法律29410により認められた、La Oroya製錬所のPAMA(環境適正化計画)実行資金の確保と、製錬所再開の10か月の猶予が、7月27日をもって終了したが、同社はいずれの義務も果たさなかった。
 今後の対応に関して、Velasquez首相は、Garcia大統領が7月末の演説で同製錬所の閉鎖を約束したものの、政府は現段階で製錬所を閉鎖することはできないことを明らかにした。これは法律29410が、Doe Run Peru社に対し、2009年10月から起算して合計30か月のPAMA期限延長を認めていることが原因である。同法律では、融資調達及び操業再開期間に10か月、PAMAの完了に20か月の期間を認めており、今回期限を迎えたのは最初の10か月目であり、融資調達と操業再開の不履行は、罰金対象ではあるが閉鎖対象ではない。
 なお、今後20か月後(2012年初頭)の期限完了時に同法律を不履行の場合、製錬所の操業ライセンスは取り消しとなる。
 一方、エネルギー鉱山省は、本問題に関しては、これ以上の譲歩はしないとの考えを示し、可能な解決策として、工業所有権庁(INDECOPI)による債権者会議の招集によって、同社の清算手続きを行い、同社を低価格で売却するか、債権者である企業のいずれかが同社の更正を行うという方針を示した。いずれにしても、製錬所を買収した企業は150百万US$を投じてPAMAを完了する義務を負うことになる。
 なお、同社の国税庁(SUNAT)への未納額は170~250百万US$となっていることから、一部専門家は、政府も債権者会議に出席する可能性を指摘しており、Doe Run Peru社のSUANTへの未納額は、同社の米国本社を所有するRencoグループに対する債務156百万US$を大きく上回っている。
 現在、既にDoe Run Peru社の債権者企業の一つであるConsorcio Minero社が、INDECOPIに対する債権者会議の召集を申請中である。

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