ニュース・フラッシュ
2010年8月17日
シドニー
原田富雄
豪:連邦議会選挙結果は鉱物資源利用税に影響
8月21日に投票日を迎える連邦議会選挙に向け与野党の選挙活動が過熱している。2007年の前回選挙ではそれまで野党であった労働党が労働者寄りの政策や地球環境対策を政権に掲げ、11年間続いた保守連合政権から政権を奪取するというエポックメーキングがあったものの、今次選挙では与野党とも政策の変化に乏しく盛り上がりにかけている。こうした中で、2012年7月に導入する鉱物資源利用税(MRRT)が注目を集めている。
ギラード首相は、同税に対する資源企業、特に中小事業者の不満を払拭するため、政財界関係者から構成される「政策移行グループ」を設置、問題点について検討する姿勢を見せたものの、選挙の結果、労働党が引き続き政権政党として国民から付託された場合には、MRRTの制度設計が資源企業の望むものにはならないとの懸念が資源業界にある。こうした点を野党は指摘しており、アボット野党自由党党首はWA州パースでの選挙活動の際、MRRT導入により探鉱還付制度が廃止されたことに触れ、2011/12年度に探鉱開発プログラムとして150百万A$の助成を含む総額418.3百万A$の資源分野へのインセンティブを用意する意向を示した。また、資源企業が望む「フロースルー株式制度」導入についても導入を予見させるポジションをとっており、中小の鉱山、探鉱会社で構成される団体(AMEC)やWA州政府は歓迎の意向を示している。