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ニュース・フラッシュ

2010年8月19日 ロンドン フレンチ香織

南ア:鉱業探査の容易度ランキングで第31位に下落、投資家の不安要因が顕在化

 カナダの研究機関Fraser Instituteが8月11日に更新した『世界における鉱山探査の容易度ランキング』によれば、2010年4月、南アは51か国のうち第13位であったが、8月には第31位に下落した。これは、連日の投資家に不安感を招く鉱業関連の報道によるものと考えられている。
 先ず、南ア鉱物資源省(DMR)が、Anglo Americanの子会社Kumba Iron Ore社やLonminの大手鉱山企業が鉱業活動中の鉱区において、BEE有力者が経営する企業に探鉱権を付与し、DMRはその行為をMPRDA(2002年作成、2004年施行)に則って『合法』と主張していることである。DMRは2009年11月、鉱業権の見直し手続きにて世界鉄鋼大手のA Mittal社が更新できなかったSishen鉱山の権益21.4%を、BEE有力実業家の投資家を含むImperial Crown Trading 289社へ(探鉱権として)付与した。Anglo Americanの子会社Kumba 社は、残りの権益78.6%を保有するSishen鉱山の操業者であるが、2010年2月に本付与を初めて知らされ、また、同権益の継承を申請していたのに不条理に却下されたとして、本事例を最高裁判所へ起訴する方向である(本ニュース・フラッシュ「Lonmin社と南ア鉱物資源省との対立」参照)。
 その他、7月30日に発表された『経済改革に向けた議論書』によれば、9月に開催予定の南ア与党ANC(アフリカ民族会議)国家総務会での議論において、鉱山国有化が盛り込まれる模様。また、鉱業憲章の見直しについては、6月時点でも「BEE権益譲渡26%のターゲットは変更が無い」とDMRのShabangu大臣は断言しているが、8月まで発表が延期となっており、本発表に関して、DMRは未だ慎重な姿勢をとっている模様。
 米City Groupは、同国には2.5兆南アRand相当の鉱物資源が存在すると計上する。DMR大臣のShabangu女史は、投資意欲を回復させるためにも、今後の対策に急ぐ模様。
 Fraser Instituteの発表:
 http://www.fraserinstitute.org/uploadedFiles/fraser-ca/Content/research-news/research/publications/miningsurvey-2010update.pdf

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