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ニュース・フラッシュ

2010年8月24日 サンティアゴ 大野克久

アルゼンチン:氷河保全法案が下院を通過

 8月11日、アンデス氷河地域における採掘、石油掘削を禁止する法案がアルゼンチン下院で可決された。
 本法案は2年前にも審議され国会承認されたが、Cristina Fernando de Kirchner現大統領がBarrick Goldの鉱山開発計画を有するSan Juan州等における経済活動を阻害するという理由から、大統領拒否権を発動し廃案になった経緯がある。
 本法案は、アンデス氷河地域及びその周辺地域の保全規範、これら地域を汚染・損傷した場合の罰則について規定されている。
 今後、この法案は今月下旬に上院で審議・投票されることになる。アルゼンチンでは、2011年11月に大統領選が控えており、次回の大統領選には現大統領の夫で前大統領であるNéstor Kirchner氏が出馬すると見られており、改革派及び中間層の支持を取り付けたいCristina大統領は、今次法案が国会通過した場合、大統領拒否権を発動しないと言われている。
 なお、アルゼンチン鉱業協会によると、Pascua Lamaやその他のアンデス山脈高度地域における鉱山開発は完全に禁止され得る可能性があるとしている。本法案が成立した場合、Barrick Goldが開発中のPascua Lamaプロジェクトは、資金規模が増大もしくは不可能になる恐れがある。
 一方、鉱業振興を促進したいLa Rioja、Jujuy及びSan Juanの3州は既に独自の氷河保全に係る州法を制定しており、地方政府が実施するEIAにより、鉱山プロジェクトが氷河地域に悪影響をもたらすという結果の場合のみ、開発禁止される内容となっている。
 これら3州は、今回の法案を阻止しようとするが、最終的には連邦政府が鉱業活動を規制する方向になるのではないかと見られている。

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