ニュース・フラッシュ
2010年9月6日
リマ
山内英生
ペルー:憲法裁判所、エネルギー鉱山省に対し先住民地域との事前協議不履行を指摘
9月2日付け地元紙等によると、憲法裁判所は、エネルギー鉱山省が鉱物や石油天然ガスのプロジェクトに関して、先住民コミュニティとの事前協議手続きを定める規則を制定する義務を負っているにもかかわらず、これを部分的にしか履行していないとして、同省に対し、ILO条約第169号(1989年の原住民及び種族民条約)に基づいた先住民コミュニティとの事前協議プロセス規則を策定するよう申し渡した。
憲法裁判所は、現在、同省が定める地元社会への情報公開セミナーや、事後の協議会の開催等は、ILO条約第169号の求める「先住民社会文化に適した事前協議」を満たすものではないとしている。
これに対してSanchezエネルギー鉱山大臣は、同省の定める市民参加規則はILO条約第169号を反映したものであり、憲法裁判所の要請に応えるには若干の調整を必要とするだけだとし、鉱業・石油天然ガスプロジェクトの実施に、先住民コミュニティによる事前の住民投票が導入されることを意味するものではないとコメントするとともに、現在、憲法裁判所の指摘内容を注意深く分析し、ILOの規定に見合う形での規則調整を行いたいとの考えを示した。
一方、憲法裁判所は、国会に対しても、2010年5月19日に可決された先住民地域事前協議権利法を早急に発布するよう申し渡した。