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- 鉱種:
- 銅 ベースメタル
チリ:CODELCOの銅先物取引に伴う損害は4,600百万US$程度の見込み
2010年5月、新たにCODELCOの役員として就任したAndrés Tagle氏によると、過去4年間でCODELCOは1,943百万US$を損失し、今後3年間で新たに2,687百万US$の損害を被る可能性があることが明らかとなった。
これは、Bachelet前政権及びLagos前々政権時にCODELCOが実施した一連の銅の先物取引やオプション取引等の損失及びそれに相当する税金によるもので、合計4,630百万US$になる。
CODELCOによると、本取引は生産時の銅の売却価格レベルを担保することによって将来のキャッシュフローを保全するためのものと説明しているが、Tagle氏によると本手法は鉱山業界で一般的なものでは無く、CODELCOでも2007年には取りやめているとのことである。
2000~2006年のCODELCO Villarzú総裁時代は、2005年12月に139千t、2006年1月の699千t等、計1,180千tについて銅先物取引もしくはオプション取引が実施され、損益計算書を分析してみると、最大の単年度損失は2008年の679百万US$であった。
これに対しVillarzú前々総裁は、これらは中国Minmetalsとの取引、Gabriela Ministral(当時Gaby)鉱山(5年間で700千t販売)及びEl Salvador鉱山の取引(6年間で360千tを販売)によるものであるとしている。概要は以下のとおりである。
Minmetalsとの取引内容は、CODELCO及びMinmetalsが各50%出資で設立したCopper Partnersに、CODELCOが15年間にわたって836千tの銅地金を販売するもので、この銅地金は中国市場価格で販売され、差益についてはCopper Partnersで按分される。また、市況が変化した場合は契約条項の見直し可能であり、2011年以降は何ら制限無くCODELCOが契約見直し条項を行使できる内容となっている。
Gabriela Ministral鉱山の場合は、2005年末の銅価格が90¢/lbでプロジェクトの経済性が担保されなかったが、スポット価格と先物価格との間に大きな格差があったことから、2008~2012年の銅地金販売を平均140¢/lbとして先物取引を実施し開発に至った(2008年操業開始)もので、この手法を用いなければ開発は延期されていた。
El Salvador鉱山の取引はGabriela Ministral(旧Gaby)鉱山と同様で、同鉱山の生産コストが高いことから経済性を担保するために2011年まで価格が固定されている。
Villarzú前々総裁によると、2005年末時点でCODELCOは長期的な銅価格を90¢/lbと見込んでおり、その後の2006~2008年にかけて平均3 US$/lbに銅価格が急騰したが、2005年の時点で誰がこの状況を予測し得ただろうかと反論している。
本件については、今後チリ政府下院で調査委員会が設置され、原因究明される見込みである。
