ニュース・フラッシュ
豪:連邦議会選挙結果がウラン開発に影響
2010年8月21日の連邦議会選挙結果により、今後の国会運営でキャスティングボートを握ることとなったグリーン党、及び無所属議員の発言がウラン開発関係者に暗雲をもたらしている。
グリーン党のLudlam上院議員(原子力担当)は、WA州においてBHP Billitonが開発するYeelirrieウラン・プロジェクト、Camecoと三菱商事が共同開発するKintyreウラン・プロジェクトを含め、数年内に開発されるウラン鉱山開発阻止に向けて同党が持つバランス・オブ・パワーを活用すると声明した。また、タスマニア州選出の無所属のWilkie下院議員も、豪州での新規のウラン鉱山開発を支持しないと表明している。
今次選挙結果により2011年7月から始まる新上院において、与党労働党が31議席、野党保守連合が34議席、グリーン党が9議席、その他2議席となっており、法案通過には過半数となる39の賛成票を得るためにはグリーン党の支持が不可欠との情勢になっており、グリーン党は新たに誕生したギラード政権に対し、「ウラン開発の禁止」、「原発禁止」といった同党の公約を実現すべくプレッシャーをかけ始めている。
こうしたグリーン党の動きに対し、WA州のバーネット首相を始め、豪州ウラン開発事業者はグリーン党の動きに対し、真っ向から反対の姿勢を示しており、ファーガソン連邦資源エネルギー大臣も、前政権下で示してきたウラン開発方針に変更はないと表明した。
与党労働党は、2007年の連邦議会選挙に臨む際に、「ウラン3鉱山政策」を廃止し、ウラン開発を推進、また、非拡散防止条約締結国にはウラン輸出を解禁してきた経緯がある。ウラン開発には各州政府の許認可に加え、連邦政府の規制を大きく受けることから、ウラン政策について今後の動向に注目する必要がある。