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ニュース・フラッシュ

2010年9月17日 サンティアゴ 神谷夏実

チリ:チリ下院、新ロイヤルティ法案を可決

 チリ下院は、9月16日、新ロイヤルティ法案を、57対54の僅差で議決した。これにより今後は上院での審議に入るが、上院では与党は過半数に達しておらず、法案成立への道のりは険しい。法案では、2010年以降、年間銅年産量5万t以上の企業に5~9%のロイヤルティを課税する。ロイヤルティは正式には鉱業特別税と呼ばれ、現状では営業利益に対し5%の税率となっている。法案では、営業利益率に応じた税率でロイヤルティを決める仕組みとなっている。なお前ラゴス政権時代に、2006~2017年にかけて減税(5%から4%)を認められている企業(納税条件不変期間の適用を受けている企業)については、新ロイヤルティ税率の受け入れは企業の自発的な意志にまかされている。また、新規開始プロジェクトを持つ企業については、2010年から新しい税率(5~9%)が適用される。
 新ロイヤルティ法案は、与党連合が提案したものであるが、野党連合は、より高い税率(最高18%)、納税条件不変の適用の廃止等を提案している。また、今回下院では、新ロイヤルティ法と同時に、与野党の賛成により、“投資及び地域再生ファンド”(ロイヤルティ税収を原資とする1億US$、4年間)の創設、税収の配分(鉱業地域に3分の1、その他地域に3分の2)についても可決された。
 新ロイヤルティ法案は、2010年2月に起きた過去最大級の地震(被害総額300億US$)の復興費用(約80億US$)の原資とするためのもので、政府は、2011~2013年にかけて約10億US$の復興予算を用意する計画である。なお現在の銅価が3 US$/lb超えと高めに推移しており、2010年だけでも9億US$の税収があるという推定もなされている。

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