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ニュース・フラッシュ

2010年9月20日 ロンドン フレンチ香織

南ア:鉱業憲章の改訂内容を発表、BEE遵守の厳格化と残存する曖昧な表現

 南ア鉱物資源大臣(DMR)Shabangu女史は9月13日、一年遅れで鉱業憲章の改訂内容を公表した。Shabangu大臣は、2010年時点ではBEE(Black Economic Empowerment)の目標ターゲットに達することができなかった項目がいくつか存在し、特にBEE権益譲渡については、2009年目標15%以下の、企業平均8.9%しか遵守できていなかったと警告。今回の改訂には、BEE権益譲渡の促進、労働者の技術スキル訓練の充実等を厳格化する内容を盛り込んだ。以下、報道などで取り上げられていた重要な改訂内容を示す。
 <高くなるハードル>
 法的拘束を明示。BEE不遵守(non-compliance)企業は、鉱物・石油資源開発法(MPRDA)の違反と認識され、MPRDA第47項(鉱業法違反による探鉱権・鉱業権の無効、保留)ならびに第98項(違法)、第99項(罰則)の対象となり得る。(*鉱業憲章の改訂2.9)
 BEE権益譲渡の目標(2014年)は最低26%に保持。原則、(ⅰ)本BEE権益譲渡の目標達成、(ⅱ)BEEに関する年次報告、(ⅲ)2014年までに飯場(Hostel)を家族用宿舎へ改装・改良は、重大な制約理由を報告しない限り、BEE遵守企業と認識されるための最低基準と考えられる。(*同改訂2.1、2.7、2.9)
 2014年までに、BEE企業からの資本財(Capital goods:鉱山設備など)の調達40%、BEE企業からのサービス調達70%、BEE企業からの消費財調達50%を目標とする。(*新スコアーカードElement 4)
 2010年以降、地元鉱山企業に資本財を供給する多国籍企業は、その鉱山企業から得た年間収益の0.5%を、社会開発ファンドに貢献しなければならない。(なお、鉱山企業が、多国籍供給者からの資本材調達にかかった経費をDMRへ報告:*同改訂2.2)
 技術スキル訓練を充実させるためにも、2014年までに年間支払い給与総額の5%を人材育成に利用する。(*同改訂2.5)
 <付加価値化の促進による義務緩和>
 [6] 原則としてBEE権益譲渡の目標(2014年)は26%であるが、付加価値化に関する戦略(Beneficiation Strategy)で定められた(10種の鉱物の)付加価値化の達成レベルによっては、譲渡すべき権益11%の減免(オフセット)が可能。(*同改訂2.1、2.3)
 上述の通り、鉱業憲章の改訂では、BEE達成率の目標値、そして、MPRDA第47項同等の法的拘束力が明示された。南アフリカ全国鉱山労働者組合(NUM)の代表は、HDSAへの利益還元の増加のためにも、遵守の取り締まり強化を歓迎している。
 他方、南ア法律分析家や市場分析家等は「鉱業憲章の改訂には、用語の再定義等、有用な内容も多くあるが、追加で曖昧な点を残す可能性もある」と評価する。例えば、[4]に関しては、社会開発ファンドの母体となる政府系ファンド基金の組織が定められていない。また、[6]の付加価値化の促進に関しては、付加価値化に関する戦略の草案は2009年3月に発表されているが、最終版の内容は発表されておらず、未だこのオフセットが適用となるレベルが不明瞭である。
 なお、同省の広報課に問い合わせたところ、本改訂は公布と同時に施行されている模様。南アChamber of Mines(鉱業協会)の代表者は、「今回の鉱業憲章の発表は、改訂内容に係る方向性を示すものであり、完結したことを意味しているのでは無い」とコメントしていた。
 参考資料:
 鉱業憲章の改定内容の原文:
    http://www.dmr.gov.za/Policie_And_Promotion/Documents/Documents/Amended_of_BBSEE_Charter.pdf
 新BEEスコアーカード:
    http://www.dmr.gov.za/Policie_And_Promotion/Documents/Documents/Scorecard/scorecard.pdf

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