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ニュース・フラッシュ

2010年9月28日 サンティアゴ 神谷夏実

ブラジル:鉱業法改正を控え、先住民土地での資源開発の議論が活発化

 メディア報道によると、ブラジルでは、先住民が保有する土地における資源開発を認めるかどうかについて論議が活発化している。これに対して、伝統社会や環境の破壊を助長するとの反対意見もだされており、10月の大統領選挙後、新鉱業法の改正が計画される中、先住民土地における資源開発を認めるかどうかについての論議が展開されそうである。
 ブラジルでは国土の13%が先住民土地となっており、その面積は1,100万haに達するが、ブラジル地質調査所CPRMによる基礎調査では資源ポテンシャル(鉄鉱石、ボーキサイト、金、ダイヤモンド等)も高いとされている。こうした先住民土地での資源開発は禁止されているが、ブラジル鉱業協会IBRAM等産業界からは、開発開放への要望が強い。IBRAMによると、今後伸びる資源開発需要を満たすために、これら先住民土地における資源開発を開放する必要があり、先住民側にも、資源ブームに乗り適切な恩恵を得る機会であるとしている。また先住民土地で行われている小規模採掘を抑制し環境保全にも資するとしている。また先住民の代表団体FUNAIも、こうした法改正の動きには一定の理解を示しているが、一部の先住民が資源開発の開放に反対していることもあり、様々な先住民との利害調整が必要であるとしている。なお、ブラジルは10月に大統領選挙を迎えるが、与党(Workers’ Party・労働党)が勝利すれば、何らかの進展が見られるという見方もされている。

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