ニュース・フラッシュ
2010年11月23日
ロンドン
フレンチ香織
グリーンランド:レアアース等の探鉱案件が増加
グリーンランド鉱物・石油局が紹介した英鉱業誌の記事によれば、グリーンランドでは近年、探鉱が活発化し、探鉱費も2008年レベルまでに回復した。2010年1月~11月初頭までで、排他的な探鉱権(Exploration Licence)は77件、非排他的な探鉱権(Prospecting Licence)は21件、採掘権は4件が許可された。特に、グリーン・テクノロジーに不可欠とされるレアアースの中国依存を脱却しようとする世界の動きから、ここ3年でレアアースの探鉱が増加しており、2009年の探鉱費は300百万DK(約55百万US$)である。2010年は未確定ではあるが、2008年の497百万DK(90百万US$)に近いとの見込みである。
<同局が紹介していた探鉱案件>
・ | Greenland Minerals and Energy社(豪)のKvanefjeldレアアース・ウランプロジェクト。プレFSでは、オートクレーブ法を使った加圧Carbonate Leachingによって、(ランタノイドとイットリウムから成る)酸化レアアースの回収率34%を達成する計画。 |
・ | Hudson Resources社(加)のSarfartoqレアアースプロジェクト。物理探査及びボーリング調査は完了し、今後はプレFSを開始する予定である。 |
・ | Australian Rimbal社(豪)は、Narsaqの南東でレアアースやジルコニウムのユーダイアライト(Eudialyte)鉱床を探査中。2011年に排他的な探鉱権を申請する予定である。 |
・ | Avannaa Resources社(デンマーク)のKarratレアアースプロジェクト。現在は、資源量の確定に向けて、ボーリング調査及び鉱石サンプリングを行っている。 |
・ | London Mining社(英)はNuukより北東120 kmのところで、鉄鉱石の探鉱を行う。2011~2012年で探鉱権を取得し、2014~5年には生産を開始する予定である。 |
・ | Ironbark Zinc社(豪)のCitronen鉛亜鉛プロジェクト。亜鉛製錬大手Nyrstarが同社株30%を保有。現在はボーリング調査を実施している。 |
・ | Platina Resources社(豪)は2007年に探鉱権を獲得。金、白金、バナジウム、チタンをターゲットとして、ボーリング調査を継続し、2011年にはプレFSを完了する予定。 |
新グリーンランド自治法の制定(2009年6月21日)により、2010年1月1日に新グリーンランド鉱物資源法(Inatsisartut Act No7)が施行され、グリーンランド自治体に探鉱・鉱業権の管理が移譲された。グリーンランドは独立への第一歩を踏み、鉱物資源からの歳入増加に期待を寄せている。新鉱業法では、ウランのゼロ・トレランス政策は続ける姿勢であるが、2010年9月にはGreenland Minerals and Energy社が特別ケースとしてウラン探鉱権を取得。また、グリーンランド政府は、レアアース探鉱の増加傾向から、同鉱物に付随する放射性物質の安全な取り扱い方法などの情報に大きな関心を示している模様である。
