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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ベースメタル
2010年11月29日 リマ 山内英生

ペルー:Tia Maria銅プロジェクト、海水淡水化決定も住民反対運動継続、県知事住民投票実施提案

 2010年11月13日付け地元紙等によると、Southern Copper社は、Tia Maria銅プロジェクトにおいてTambo川渓谷における表層水・地下水のいずれも利用しない旨を国立水資源機構(ANA)に通知し、同機構はそれを承認した。
 これは、同プロジェクトによる河川の水資源及び地下水利用に反対するCocachacra村住民らの要求に対応したものであり、同社は海水を淡水化して操業を行う方針である。
 しかしながら、地元コミュニティは鉱業活動を受け入れれば周辺に広がる12,000 haの農用地に対して悪影響が及ぶことは避けられないとし、あくまでも同プロジェクトに反対する方針で、11月22日にはSouthern Copper社へ反対を表明するためのデモ抗議運動を実施する計画である。
 11月18日付け地元紙等によると、Arequipa県のGuillen知事は、地元住民による反対が根強いTia Mariaプロジェクトの是非を問う住民投票実施を提案した。
 プロジェクトが位置するIslay郡では、11月22日から同プロジェクトに対する抗議行動が計画されている。
 また、11月24日付け地元紙等によると、Southern Copper社の実施するTia Mariaプロジェクトが位置するArequipa県Islay郡では、11月22日から24日にかけて同プロジェクトへの反対抗議運動が実施された。
 抗議運動は暴力的なものとなり、初日である22日は500名から1,000名にのぼるデモ隊と警官隊とが衝突し、けが人20名、逮捕者10名程度を出したほか、警官隊によってパンアメリカン・ハイウェーの封鎖を阻まれたデモ隊が、警察のバスに放火するなど、激しい応酬が行われた。
 なお、Southern Copper社のGonzales社長は、一連のデモ抗議に関してはコメントを控えたが、鉱山省により環境影響評価(EIA)が承認され次第、プロジェクトは開発に移行するとの考えを示した。
 一方、Sanchezエネルギー鉱山大臣は、Tia Mariaプロジェクトは淡水化海水を使用する旨を改めて説明した。また同プロジェクトは、環境にインパクトを及ぼさないことをEIAにおいて証明することを条件に開発されるとし、その根拠としてエネルギー鉱山省は国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)と協定を締結し、国際的な専門家のアドバイスを得ながら環境影響評価(EIA)の審査に臨むことを明らかにした。これに対し、反対派はプロジェクトの是非を問う住民投票を実施すべきであると主張している。
 なお、度重なる協議を経て、反対運動を実施するTambo渓谷防衛戦線の代表者らが近日中にリマにおいて首相と会談することが決定し、デモ抗議は11月24日に、今後10日間休止することが決定された。

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