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ニュース・フラッシュ

2010年12月21日 シドニー 原田富雄

豪:鉱物資源利用税(MRRT)の詳細を検討する「政策移行グループ(Policy Transition Group(PTG))」が検討結果を連邦政府に提出

 2012年7月1日に連邦政府が導入を予定している「鉱物資源利用税(MRRT)」の詳細を検討する「政策移行グループ(Policy Transition Group(PTG))」は、2010年12月21日、これまで関係者間で議論、検討してきた結果をレポートにまとめ、Swan副首相兼財務大臣に提出した。同日、提出された2部構成のレポートは連邦政府のウェブサイトに公開されており、94に及ぶ提言がまとめられている。
 PTGの中で最大の関心事であった州政府のロイヤルティに関し、これまでPTGの共同議長を務めたMartin Ferguson連邦資源大臣は、「MRRTの導入に際し、二重課税防止の観点から、(MRRTの基になった資源超過利潤税(RSPT)が発表された)2010年5月2日時点で採用されていたロイヤルティについては資源企業への還付対象とするものの、それ以降のロイヤルティ値上げ相当分については対象としない」旨表明してきたことから、MRRT導入にあたってギラード首相との間で妥結した資源大手3社(BHP Billiton、Rio Tinto、Xstrata)との約束を反故にする発言として物議を醸してきた。
 資源大手を含む業界は、RSPT導入が発表された5月以降、メディアを通じた反政府キャンペーンを実施、国民から大きな反響を得たことを教訓に、連邦政府がロイヤルティに対する考えを変更しない場合、年明けから再度反政府キャンペーンを実施すると表明していたが、今回「現在及び将来に亘りロイヤルティは全額相殺(be credited)される」と提言されたことから、資源大手3社、豪州鉱業協会(MCA)は歓迎の意向を示している。
 一方で、Swan大臣は年明けから連邦政府との間でロイヤルティ問題、特に連邦の関与・値上げに関し討議を開始したいとしているが、資源を多く産出するQLD州及びWA州の首相は、ロイヤルティ制度は憲法上も州政府が権限を持つとして、既に連邦の姿勢に反対を表明した。
 その他今次提言の中で注目される点は次のとおりであるが、上記ロイヤルティ問題を含め、採択するかについては年明けから政府部内で協議するとされている。
 ・課税対象企業(原案では年間利益が50百万A$以上)は、50百万A$以上から課税対象
 とし、100百万A$以上からフルの税率で課税する段階税率の適用
 ・探鉱還付金等の探鉱企業支援制度へのインセンティブは不要と結論
 ・課税ポイントは鉱山からの採掘時点(加工を含めず)→磁鉄鉱企業の求めに応じる
 なお、RSPT導入を提言したヘンリー調査報告書(Henry Tax Review)の取りまとめ役であり、10年間に亘り財務省次官ポストを努めてきたHenry次官は、本レポートが提出された21日付けで退職(Barclays Capitalが再就職先候補)となり、連邦政府で重要課題である気候変動政策(炭素税、CPRS)に詳しいParkinson気候変動・エネルギー効率化・水資源省次官(前財務省副次官)が後任となる。

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