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ニュース・フラッシュ

2011年2月14日 バンクーバー 片山弘行

加・英:ロンドン証券取引所グループとトロント証券取引所運営のTMXグループが対等合併へ

 トロント証券取引所等を運営するTMX Group Inc.(以下、TMX)とロンドン証券取引所等を運営するLondon Stock Exchange Group PLC(以下、LSEG)とは、2011年2月9日、対等合併するための契約を締結したことを発表した。
 本合併により、TMXとLSEGはトロントとロンドン双方に本拠を置く合同証券取引グループを組織し、投資家やトレーダー、株式発行人にとって有益となる資本市場を提供するとしている。合同証券取引グループは6,700以上の上場企業、合計時価総額3.7兆£(5.8兆C$)を有することとなり、年間取引高で世界第4位(合併予定の取引所も含む)の市場となる。
 契約によると、TMXの株主は、TMX普通株式1株当たりLSEG普通株式2.9963株を受領できる。LSEGは合同証券取引グループの持株会社となり、LSEGの既存株主は持株会社となったLSEGの55%を、TMXの既存株主は持株会社LSEGの45%を所有することとなる。また、LSEG株はロンドン証券取引所及びトロント証券取引所双方にて上場される。合同証券取引グループの役員は15名置かれ、そのうち8名はLSEGから、7名はTMXから選任され、CEOは現LSEGのCEOであるXavier Rolet氏、社長は現TMXのCEOであるThomas Kloet氏、CFOは現TMXのCFOであるMichael Ptasznik氏が予定されている。今後3年間で総利益を35百万£(56百万C$)、5年間で100百万£(160百万C$)とするとともに、統合によるコスト削減効果を今後2年間で35百万£(56百万C$)とすることを目標としている。
 本契約は、LSEGの定時株主総会において株主の過半数による承認、TMXの臨時株主総会において株主の2/3以上による承認を条件とするとともに、ON州裁判所によるplan of arrangementの承認、カナダ投資法/競争法(カナダ)/ハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法等に基づく複数の規制当局(ON/QC/AB/BC州の証券委員会、英金融サービス機構、イタリア銀行、イタリア証券取引委員会)の認可が条件となっている。
 カナダ一般紙は、カナダの鉱山会社/探鉱会社等にとってヨーロッパの投資家に対して露出する機会が増すことで資金調達の幅が広がるとの好意的な見解を伝える一方で、上場するため、もしくは上場を維持するための規制が重くなるのではないかとの懸念の声も伝えている。また、カナダ側が45%のマイノリティに留まることや、特にトロントにおける30万人以上の証券取引に関わる雇用の喪失が懸念されている。ON州とQC州の証券委員会は、同州の証券取引規則によりTMXの10%以上が単一の企業により取得される場合に承認を与える権限を有しており、これら両証券委員会の判断が鍵とされているが、ON州は今秋に総選挙を控えていることから、雇用問題の観点からも政治的に難しい判断が迫られるとし、またQC州では野党ケベック党が反対を表明しているなど、合併は難しいのではないかという懐疑的な見方も一部報道では認められる。
 TMXは、トロント証券取引所(TSX)、主にベンチャー企業を取り扱うTSXベンチャー取引所(TSX-V)、デリバティブ商品全般を取り扱うモントリオール取引所(MX)、天然ガス関連株を取り扱う天然ガス取引所(NGX)、株式オプションを取り扱うボストンオプション取引所(BOX)等を運営する株式会社であり、トロント本部の他、カルガリー、モントリオール、バンクーバーに支部を持つ。2010年12月31日までの12か月間の収益は6.26億C$(394百万£)、上場会社3,886社のうち資源関連企業の数は1,434を数える。
 LSEGは、ロンドン証券取引所、イタリア証券取引所を運営する株式会社であり、ロンドンに本部を置く。2010年9月30日までの12カ月間の収益は6.33億£(10.27億C$)、上場会社2,191社のうち資源関連企業の数は171であるが、その中にはBHP BillitonやRio Tintoなどがある。

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