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- 銅 ベースメタル
ペルー:Southern Copper社のTia Maria銅プロジェクトへの反対運動が激化
2011年3月27日及び28日付け地元各紙によると、Southern Copper社が進めるTia Mariaプロジェクト(Arequipa県)に対して、3月23日に無期限抗議行動が開始された。抗議行動はTambo渓谷やCocachacra等の自治体や集落が形成する複数の組織によって実施され、1,500~2,500人が参加して道路封鎖や通行車両への投石等が行われ、3月25日にはデモ隊と警察の治安部隊とが衝突する事態に発展した。
抗議行動を行うTambo渓谷戦線及びCocachacra保護戦線は、唯一の要求は政府によるプロジェクトの中止であるとして態度を硬化させているほか、対話協議会は首都Limaでなく地元Arequipa県で行われるべきだと主張し、3月28日までに閣僚級委員が同地を訪問しない場合には抗議行動を激化させるとしている。
Tia Mariaプロジェクトでは水資源を巡る地域住民による反対運動が根強く、エネルギー鉱山省は2010年に国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)に対し、EIAの審査や環境関連手続の改善への助言を要請していた。UNOPSがエネルギー鉱山省に送付した報告書によれば、同プロジェクトのEIAは技術的情報に乏しく、プロジェクト地域の水文調査等も不足しているなど、138か所に上るEIAの不備が指摘された。更に、Southern Copper社はプロジェクトに対する社会の参加を過小評価しているとし、EIA承認前にこれらの点が改善されるべきだとしてEIAの承認を延期し、これらの点を改善するよう勧告した。この結果を受けて、今後、エネルギー鉱山省は同社に対してEIA修正要請を通達し、同社は通達後90日以内に修正する義務を負うことになる。
同プロジェクトへの本格的な反対運動が起こったのは2009年8月で、反発が特に激しいTambo渓谷の住民らは、プロジェクトによる農用地の汚染と水利用を反対理由に挙げている。農業は同地における主要経済活動であり、農耕地の面積は12,000haに及んでいる。
Southern Copper社は水資源の確保について、当初、地下水利用、地表水利用、海水の淡水化利用の3つの案を提案したが、80%以上が農業で生計を立てる住民の反発を受け、淡水化した海水を利用することを発表した。しかしながら住民感情は解けず、2010年末には2回目の抗議行動が発生し、同時に住民内で賛成派と反対派の分裂がより一層進むこととなった。その後、上述のUNOPSによる報告書の公表により反対運動が再び活発化し、今回の抗議行動へ繋がった。
なお、Southern Copper社は2011年4月末にEIA承認、第2四半期には鉱山建設開始、2012年に操業開始を計画している。