ニュース・フラッシュ
2011年4月2日
サンティアゴ
神谷夏実
チリ:上院、鉱山閉山法を可決
メディア報道によると、3月23日、上院は、新たに提案された鉱山閉山法案を可決した。今後、下院に送られ審議される。この鉱山閉山法案は生産量10,000 t/年以上の鉱山に適用されるもので、前Bachelet政権時代に提案された当初の法案では、鉱山建設開始前に全閉山費用相当額を積み立てることとなっていたが、産業界の反対から、今回の新規法案では、操業期間中に積み立てを行い、積立期間は最長15年とされている。なお、閉山計画は地質鉱山局(SERNAGEOMIN)が承認し、監督する。現在操業中の鉱山については、閉山計画とそれにかかるコストを環境影響評価(EIS)の中に含めて、個別に承認されているが、現在は法的義務はない。
なお、野党は、現存する休廃止鉱山の鉱害対策のための特別委員会の設置を、上院での審議中に鉱業大臣が約束したのに、これが果たされていないと批判している。また今回上院を通過した法案は既存プロジェクトへの遡及適用がなく、根本的な解決にはならないとしている。これに対し、政府側は特別委員会の設置を準備中であると回答している。なお、2010年の地方紙の報道では、チリ国内に、少なくとも1,000件以上の義務者不存在の問題鉱山があり、このうち200件が尾鉱ダムに関するものであるという。また休廃止鉱山を監督するSERNAGEOMINの監督能力にも問題があるとされ、2011年内には、鉱山保安、鉱害対策部門の分離、改革案が検討されることとなっている。
