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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ベースメタル
2011年4月4日 リマ 山内英生

ペルー:エネルギー鉱山省、Tia Maria銅プロジェクト環境影響評価の否認を決定

 2011年4月8日付け地元各紙によると、エネルギー鉱山省は、Tia Maria銅プロジェクトの環境影響評価(EIA)の内容には承認を困難とする不備があることを理由に、同EIAの否認を決定した。EIAの却下を決定した局決議(105-2011-MEM-AAM)では、プロジェクト地域におけるSouthern Copper社の鉱業活動の中止や、同社が持ち込んだ重機や機材、設備の撤収が命じられている。
 2011年3月23日に開始されたTia Maria銅プロジェクトへの反対運動は、農業に従事する住民が多数派を占めるプロジェクト地域、Arequipa県Islay郡の住民や社会組織が中心となって展開された。同プロジェクトに対する反対は根強く、大規模かつ組織的な反対運動は今回が3回目となった。
 今回の抗議運動の発端は、エネルギー鉱山省がTia Maria銅プロジェクトの環境影響評価(EIA)の審査を依頼した国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)が、138か所に及ぶEIAの不備を指摘し、同省に対してEIA承認前にこれらの点を改善するよう勧告したことである。
 当初、同省はUNOPSの指摘に基づいてSouthern Copper社に対するEIA修正要請を通達し、同社は通達後90日以内にEIAの修正を実施する見通しであった。しかし、抗議運動が長引く中で、道路封鎖を解除しようとした警察の治安部隊とデモ隊が衝突し、2011年4月4日に死者1名が発生、その後、同省は180日間のEIA審査中止を発表したものの抗議行動は収束せず、更に4月7日に2名の死者と多数のけが人が発生、暴徒化したデモ隊が役場施設の破壊行為を行うなど、治安の悪化や地元経済への悪影響など、深刻な事態に発展した。
 同省のプレスリリースによれば、このような背景の中、鉱山省がEIAの審査を前倒しで行うこととなり、その結果、修正不可能な複数の箇所が確認されEIAの非承認が決定されたものである。
 なお、政府の決定により当該プロジェクトが当面凍結されたことに対し、産業界は遺憾であるとしたほか、今後の投資に悪影響を及ぼすと警告を発している。

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