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ロシア:ルサール社2011年の世界アルミ市場予測
アルミ生産世界最大手のルサール社(本社:ロシア・モスクワ)は、アルミ市場に係る2011年の予測を発表した。
アルミ市場は2010年、価格の著しい軟化局面を示した。アルミ価格は1年を通じて2,000 US$/tの水準を下回ったが、最高で約2,500 US$/tに達した。他方、中国におけるアルミ需要の大幅な増大と米欧日における金属実需回復から、2010年のアルミ消費量は対前年比14%増の4,060万tに上った。2010年の一次アルミ世界生産量は対前年比9%増の4,040万tであった。
ルサール社の予測によると、2011年もアルミ需要は確実に増加する。中国、ブラジル、インド、ロシアなど急速に拡大する市場がアルミ需要の牽引役となり、2011年の需要は対前年比8%増の4,380万tまで拡大する可能性がある。ルサール社は、2011年の中国のアルミ消費量は自動車需要増加に伴い前年比12%増の1,850万tになると見込んでいる。
ルサール社は、2011年を通じてアルミ価格は2,500~2,600 US$/tの水準を維持すると見ている。価格水準は金属の消費需要の伸びと米ドルの軟化局面における投資家の実体経済への資金供給によって決まるだろう。アルミ価格の地域差はその時々の実需の拡大と最終需要家に対する金属の入手可能性を反映したものになる。ルサール社の予測によると、2011年の地域プレミアムは現在の水準を維持し、対欧プレミアムは110~135 US$/t、対米は130~150 US$/tとなりそうである。対日・対韓プレミアムはアルミ在庫の地理的な近接性の関連で105~115 US$/tに留まると見る。
2010年にはアルミナ価格が著しく上昇し、トン当たり367 US$に達した。主要トレーダーのスポット価格による自由市場への販売増加とアルミ価格との連動性が弱まったことが背景にある。2011年のアルミナ価格は、中国その他市場における需要拡大を受け、スポットでトン当たり450 US$にまで達すると見られる。
LMEのアルミ在庫の大半(約75%)は資金調達の担保に設定されており、最終需要家にとって入手可能性が少ない。ルサール社としては、2011年にLME在庫の大幅な取り崩しがあるとは見ていない。アルミ価格は高水準で、市場は回復基調にある。投資家はアルミニウムを長期投資の対象と見るようになっており、担保権を行使することはないであろう。