ニュース・フラッシュ
ロシア:Norilsk Nickel社の探鉱活動状況
当地通信社が、Norilsk Nickel社探鉱部のオレグ・シモノフ部長に対し、同社の探鉱活動の以下の項目についてインタビューを行った。
①リーマンショック危機前と現在との探鉱活動についての比較
当社における探鉱活動への資金投入量は、2008年には29億7,600万ルーブル(1億US$)であったのが、2009年には4億2,900万ルーブル(1,500万US$)に激減。2010年には5億6,400万ルーブル(2,000万US$)だった。しかし肝腎なことは、探鉱予算の規模が、常に探鉱結果を左右しないことだ。2009年は探鉱予算は大きく減少したが、保有案件の埋蔵量の伸びは最大になった。
②予算減額の理由、また埋蔵量増加の理由
2008年と2009~10年の探鉱予算の差は、多くの探鉱案件が完了したことが大きい。具体的には、2008年には41件の探鉱案件があったが2009年には32件、2010年初めには13件となっている。またコスト高のボーリング調査については、2008年に計16万4,861 mを実施したのに対し、2009年には1万1,358 m、2010年には2万7,170 mに留まった。更に、2009~10年は保有案件の埋蔵量の評価などのデスクワークが多く、結果として埋蔵量が著しく伸びた。
③具体的に、ここ数年で埋蔵量はどれほど増えたのか
Norilsk Nickelグループで2008~2010年にニッケルで約340万t、銅で約350万t、白金で約1,920 tの埋蔵量が増加し、その採掘量はこの期間にそれぞれ3.4倍、2.4倍、4.2倍増えた。
④2011年の予算、埋蔵量の増加見込み
2011年の探鉱予算は約17億9,770万ルーブルで、11万4,480 mのボーリング調査が計画され、予想される埋蔵量の増加はニッケルで約18万t、銅で約55万t、白金で135 tである。
⑤2011年の優先プロジェクトとその達成見込み
優先プロジェクトは、ロシア北西部コーラ半島で行っている既存の生産サイトに近いところだ。2011年中に行われる作業のうち、約50%はノリリスクにおけるものだ。具体的にはマスロフ鉱床、オクチャブリ鉱床、それにノリリスク第1鉱床だ。いずれも豊富な鉱脈をもたらす可能性を有している。特にマスロフ鉱床では2011年中に鉱脈そのものと、それを開発した際の経済性を評価することになっている。
⑥極東ザバイカル地域プロジェクトについて開発断念した理由
ザバイカル地方には8つの鉱区があり、当社は2005年から探鉱を開始している。2007年には「チタ州南東部における鉱物資源開発のための輸送インフラ整備」官民パートナーシップ投資プロジェクトの一環として、ブイストリン、ブグダイン、ソロネチェン、クルトゥミン、ルゴカンの5鉱区で探鉱が進められた。当初の計画では、これら5鉱区には有用な資源の埋蔵量が確保できると予想され、その地域まで鉄道を敷くことが考えられていた。しかし、探鉱の結果、5鉱区のうち3鉱区では当社のFSで想定した採算性を確保することができないと判明したことから、現在は資産処理を検討しているところである。
⑦ブグダインとブイストリンの両鉱区について
それら鉱区では採掘・濃縮工場の設計作業を本格的に進めている。2011年中に引込み線の建設も計画されている。ナルイン(ボルジャ)駅からアレクサンドロフ工場駅まで133キロにわたる鉄道は敷設された。そこからさらにガジムル工場までの約50キロの敷設作業が進行中である。鉄道の敷設は探鉱活動とそれに続く有望鉱区の開発への刺激剤になり、地元自治体の発展の推進力にもなっている。
⑧BHP Billiton、Rio Tintoとの共同プロジェクトの現状
BHP Billitonと共同で豪州のアルビオン・ダウンスにおけるニッケル開発案件を実施している。Rio Tintoとはカムチャツカ州のトゥイムラト鉱区における金・銅開発案件を継続することが決定されており、2011年内に1万2,000 mのボーリング調査が計画されている。