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ニュース・フラッシュ

2011年5月23日 サンティアゴ 神谷夏実

ブラジル:Vale、Ferreiro新社長就任

 Valeは2011年5月19日、役員会の特別会合で、Roger Agnelli社長の後任としてMurilo Pinto de Oliveira Ferreira新社長を推薦し、同社長が5月22日に就任した。また同時にRoger Agnelli社長に対し、Valeを世界的な企業として成長させた点を評価し、円満退職を承認した。
 Ferreira新社長は58歳で、Getúlio Vargas 財団(FGV)のサンパウロ校で経営学、同リオデジャネイロ校で経営学修士を専攻後、スイスの国際経営開発研究所(IMD、スイス・ローザンヌ)でM & A特別コースを終了した。これまで鉱山業で30年の経験を有し、直前はVale Inco(現在Vale Canada)社長、及びValeのニッケル・ベースメタル営業部門の役員職にあった。
 Ferreira新社長は就任スピーチで、「今後の大規模な投資計画の継続、Agnelli前社長が進めてきた鉱山業に特化した戦略の見直し」について触れ、政府がValeに求めてきた鉄鋼業への進出について、一定の配慮を示した。Agnelli前社長は積極的な海外展開を図り、折しも鉄鉱石価格高騰とも重なりValeの業績を高めてきた。その投資戦略は積極的な海外展開が主体であり、内政を重視する当時のLula政権と対立する場面もあった。ブラジル国内でより付加価値を高める産業育成の必要性も認識されているが、市場関係者からは、鉱山会社であるValeが鉄鋼業へ進出しながら業績を維持できるかを懸念する見方もされている。投資家はValeを鉱山業としてのポートフォリオに組み込んでいるといわれている。これまでの海外展開の継続ならびに国内の鉄鋼業への進出を果たし、いかに業績を伸ばしていくか、Ferreira新社長の手腕が試される。

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