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ニュース・フラッシュ

2011年10月15日 サンティアゴ 神谷夏実

チリ:CODELCOによるAnglo American Sur社への出資に、三井物産㈱が融資

 CODECLOは、2011年10月12日、Anglo American Sur社(以下、Sur社)の株式49%を取得するためのオプション権を行使するために必要な資金について、三井物産㈱と融資契約を締結することで合意したと発表した。融資契約の上限は67.5億US$であるが、CODELCOの引き取り価格もこれに近い金額であるとみられている。CODELCOは2012年1月に、市況を見てオプション権を行使するかどうか最終的に判断するが、Hernandez総裁は今のところ行使する方針であると語っている。Sur社はAnglo Americanの100%子会社で、チリのLos Bronces鉱山、El Soldado鉱山、Chagres銅製錬所、探鉱開発権を保有している。2010年の両鉱山の銅生産量はそれぞれ221千t、40千tで、合計261千t(銅純分、同年のチリ銅生産量の4.8%に相当)である。
 CODELCOによるSur社株式の引き取り権は1978年に設定されたもので、チリ国営ENAMI(Empresa Nacional de La Minera)が保有していたが、2008年にCODELCOに移管された。Anglo Americanは2002年にこれらの資産を買収したが、CODELCOの引き取り権は継続して存在していた。引き取り権は2027年まで有効で、CODELCOは3年毎にこれを行使するかどうかの決定を行う権利を保有しており、2012年1月が次の決定時期である。
 三井物産㈱との融資契約の返済の一部については、CODELCOは自らが引き取る49%株式の50%(つまりSur社株式の24.5%相当分)を三井物産㈱に譲渡することで相殺する権利を有している。譲渡価格は49%株式相当分の97.5億US$をベースに決められ、残債務は5年間で返済することとなっている。また三井物産㈱は、銅地金換算で3万t/年の引き取り権を10年間にわたり獲得できる。今回の融資に関して、CODELCOのJofre役員会会長は、「合計7社と交渉を行い、最も良い条件を提示した三井物産㈱と契約を決めた」と語っている。またHernandez総裁は、「優良資産を持つSur社への出資は今後の事業拡大に貢献するとともに、Anglo Americanとより協調的にAndina、Los Bronces両鉱山の開発に取り組める意義は大きい」と語っている。
 今回の融資契約のCODELCOにとってのメリットは、Los Bronces鉱山がCODELCOのAndina鉱山と隣接しており、将来的な開発にシナジー効果が期待できる点と、権益取得資金の返済について、市況動向を見ながら決める決定権を獲得できたことである。CODELCOは今後5年間で170億US$に上る投資計画があり、負債額を極力抑えるために、今回の融資契約は有利な資金調達方法となったと考えられる。
 一方、市場では、CODELCOによる引き取り権の行使により、懸案であったAndina鉱山とLos Brocnes鉱山の協調的な開発に目途がついたことを歓迎する声も聞かれる。しかし、CODELCOの引き取り権の行使はAnglo Americanの業績に影響を与えるとの見方もあり、Anglo Americanが何らかの対抗措置に出る可能性も指摘されている。Anglo Americanは、Los Bronces鉱山の生産量を現在の220千t/年から490千t/年に拡張するために(2011年Q4完成予定)、すでに28億US$を投資している。

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