ニュース・フラッシュ
2012年6月27日
サンティアゴ
神谷夏実
ブラジル:連邦政府、戦略的鉱種の鉱業権制限を検討
メディア報道によると、鉱業法改正の議論が進められている中で、一部の戦略的鉱床の鉱業権の接収を行う可能性について検討がされている。接収した鉱床について、石油・天然ガスの鉱業権と同様に、入札により、より高い価格でこれを解放する。「戦略的」な鉱種として、カリウム、レアアース、リン鉱石、大規模未開発の鉄鉱石等が考えられ、通常の先願による鉱業権設定と異なるリース等により鉱業権を設定することになる。また、新制度において、探鉱権は「暫定的」に与えられ、政府による接収も可能となる案も考えられている。政府は、農業分野での需要が見込まれるカリウム肥料原料の開発について、大きな不安を持っており、こうした資源事情によって規制が強化される可能性がある。政府が既存の鉱業権を取り消し接収する場合、探鉱等への投資額を補償する可能性もあるという。こうした新政策の導入を踏まえ、連邦政府鉱物資源局(DNPM)は、新たな鉱業権の設定手続きを停止しているとされる。しかし、業界関係者は、こうした政策は、補償を前提としてはいるものの、政府が既得権を接収することは違憲性があとの見方をしている。一方、石油開発分野での国営Petrobras優遇の他、農業用地取得や送電設備に対する外国人への権利制限等の動きもあり、連邦政府によるナショナリズム的な既得権益制限の動きに対する警戒感も聞かれる。
