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中国:国務院、江西省南部にレアアース等産業基地を建設
現地情報によると、国務院は2012年7月2日付で「贛南等旧中央ソビエト区振興発展に関する若干の意見(以下「意見」)」を発表し、江西省南部贛南地区を競争力を有するレアアース・タングステン産業基地とすることを明確に打ち出した。国は技術開発力を高め、レアアースとタングステン鉱山の環境対策を強化し、探鉱と鉱産物の備蓄に力を入れ、レアアースの総合利用率を高め、価格決定権と発言権を高めるとしている。
同地区は、世界的にも主要なタングステン産地であり、確定可採埋蔵量は中国の約39%、世界の約26%を占め、またレアアース鉱区面積は約6千㎢(うち計画鉱区2.5千㎢)で、イオン吸着型レアアースの産地である。贛州工業情報化委員会によると、贛州には一定規模以上のレアアース企業が65社あり、川上から川下まで整った産業チェーンをほぼ形成している。精錬分離能力は4.16万tの規模に達し、2.4万tの金属生産能力を持っている。ネオジウム生産能力は2万tで全国第4位を占め、携帯電話用振動マイクロモーター、油田用永久磁石モーター、オートバイ・自動車用永久磁石モーターは既に大量生産を行っている。レアアース発光材料の生産能力は3,000 tで、省エネ照明灯の生産能力は2億個である。
レアアース・タングステン産業基地建設に関し、「意見」では次のような一連の政策により支援していくとしている。①地質調査のサポート、中央地質探査基金等の中央財政による支援強化 ②先端企業及び科学研究院による技術改善及びキーとなる技術研究の強化、精密加工促進、ハイエンド新素材の応用 ③レアアースの産学研連携イノベーションモデル基地建設により、国の支援政策の恩恵享受 ④贛州での大型レアアース企業集団創設、国のレアアース・タングステン製品生産計画指標の贛州への傾斜 ⑤贛州での南方イオン吸着型レアアース戦略備蓄基地建設のサポート、レアメタル先物取引センター建設の検討及び実証
また、同地区は数十年にわたりタングステン及びレアアースを大量に供給してきたが、払った犠牲も大きいものであった。無秩序で過度な採掘、採掘技術の立ち遅れなどで、一部のレアアース鉱区では表土が流失するなど環境汚染は深刻で、環境復元のための費用はおおざっぱな見積もりでも380億元に達すると予想される。環境保護と汚染対策のため、「意見」では次のような政策的措置が提案されている。①鉱山環境総合対策計画の策定、地質環境対策特別資金による支援拡大により、鉱山環境総合整備事業の加速化 ②クリーン生産推進の強化 ③随伴鉱物、尾鉱及び固形廃棄物の積極的な総合利用、レアアース総合回収利用産業の発展 ④廃止鉱山の埋め戻しなどのサポート
「意見」発表に対し、江西理工大学張大超準教授は「贛州のレアアース・タングステン鉱山の標準化が促され、旧採掘設備の淘汰が進むと同時に、環境破壊が減るだろう。地元住民の健康が保障されるほか、資源の持続可能な利用が促進されるなどレアメタル産業の発展にとって戦略的チャンスだ。政策がどんなに良くても、肝心なのはしっかりとそれを実行することだ。」と話す。
