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ニュース・フラッシュ

2012年7月23日 北京 土居正典

中国:南部レアアース産業の統合・再編計画に変化

 現地報道によると、工業情報化部など関連部署による「レアアース業界統合再編実施案」策定作業は急ピッチで行われている。2011年5月に公表された国務院「レアアース業界の持続的かつ健全な発展の促進に関する若干の意見」の中で、「1、2年のうちに、南部イオン型希土類業界のトップ3社への産業集積度を80%以上にする」とする方針が打ち出された以降、中国南部の5省・自治区では、五鉱集団、中国アルミ業など中央国有企業をも巻き込んだトップ3争いが繰り広げられて来た。
 しかし、工業情報化部などの関係者からの情報では、既に一定以上の規模を形成している広東省と福建省の統合プラットフォームが黙認される可能性が非常に高まるなど、現状に見合った調整が加えられている模様である。一方、中国最大のイオン型希土類生産量を誇る江西省では、微妙な駆け引きが行われ、再分割という潜在的リスクに直面している。
 広東省では、「広東省広晟資産経営有限公司」が「広晟有色」を持株子会社とし、その後「広東省稀土産業集団」を設立したほか、統合のためのタイムテーブルを作成し、生産地域の管理を強化している。なお、工業情報化部原材料司・陳燕海司長は、2012年7月7日に開催された「広東省稀土産業集団」と韶関・河源など各市政府の協力枠組協定調印式に出席している。
 また、福建省では「厦門タングステン業(以下「厦門钨業」)」を中心に「資源の秩序立った開発を通じ、精密高度加工を強力に発展させる」という方向性を確立している。厦門钨業は、採掘から高度加工に至るかなり整備された産業チェーンを有し、「全ての分野でハイエンドを目指す」としている。福建龍岩稀土開発公司関係者は「2011年、工業情報化部関係者が視察に来たが、福建の発展構想と状況を高く評価していた」と話している。
 一方、江西省は極めて微妙な状況にあり、レアアース構図の再編成もあり得るとの情報もある。現在、同省のレアアース産業には五鉱集団、中鋁集団、包鋼稀土、厦門钨業といった中央国有企業及び大型地方国有企業が参入し、川下の高度加工を全て掌握されており、さらに川上の資源が狙われている状況である。
 ある南部レアアース関係者は「江西省にとって最大の問題は、未だ統合に必要な省レベルのプラットフォームが無く、市レベルの贛州稀土のみが実力を有しているが、認知度は広晟や厦門钨業と比べはるかに及ばない」と話す。同省レアアース業界団体副事務局長は「江西省は、省レベルプラットフォームの整備・運営の最良の時機を逃してしまった」、また「統合に関し、未だ省政府と贛州市政府の考え方が一致していない。省は、江西稀有金属タングステン業控股集団有限公司(以下「江钨控股」)がプラットフォームとなり、贛州稀土資産を引き継がせようと考えている。しかし、贛州稀土は、全国的な影響力は江钨控股をはるかに超えており、統合には適さないと考えている」と話す。
 贛州稀土は実力があるが、広晟有色や厦門钨業のような省レベル大型レアアース集団になるチャンスを逸してしまった。また贛州でのレアアース採掘は、依然として混乱しているうえ、環境汚染も深刻であり、全国的なレアアース再編の動きの中で、贛州稀土が劣勢な立場に追い込まれる状況となっている。しかし、国務院は7月2日に「贛南等旧中央ソヴェト区の振興発展に関する若干の意見」を公表し、「国のレアアース産業の全体配置に基づき、資源地の利益を十分に考慮し、贛州で大型レアアース企業グループを立ち上げなければならない」と言及している。また、2012年4月に設立された中国稀土協会副会長の定員1名は、江西省に用意されていたが、選出されたのは贛州市経済貿易委員会元主任で、贛州稀土の曹暁秋現社長である。これらは、贛州稀土にとって最高の政策的武器となりうる。上記の国務院「若干の意見」を受け、江西省工業情報化委員会は7月17日、贛州稀土を中心に江钨控股、章源钨業、虔東稀土及び江西理工大学、贛州冶金研究所等の産学が協力し、大型稀土企業集団を組織するための会議を開催した。

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