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ブラジル:Tyssen Krupp社によるCSA製鉄所売却難航
メディア報道によると、Tyssen Krupp社はブラジルのCSA製鉄所及び米国圧延工場の売却を図っているが難航している。同社は、今後はコアビジネスである重工業事業に経営資源を集中していく計画で、鉄鋼部門の見直しを検討しているが、これらの資産売却が進まないと、同社の欧州本体の鉄鋼ユニットSteel Europeそのものの売却をも含めた鉄鋼業からの完全撤退、ないしSteel Europeへの資本参加を受け入れざるを得ない状況にある。CSA製鉄所は、Tyssen Krupp社が110億€をかけて建設したものであるが、同社は50億€を上回る価格で売却したいとされるが、20億€を割り込む水準に落ち込む可能性までうわさされている。なお、これまで、CSAの買手候補として、ブラジル鉄鋼大手CSN、GERDAU、新日鉄-Ternium-Usiminasグループの名前があがっていたが、7月下旬には、新たにVale、Posco、Arcerol-Mittalの名前も出ている。
一方、同社は、米州の鉄鋼事業、ステンレス事業からの撤退も急いでいる。ステンレス事業では、すでにステンレス部門(Inoxum社)がフィンランドのOutokumpu社株式を27億€で売却している。今後は、ブラジルCSAと米国アラバマ州の圧延工場の売却が残されているが、ブラジルと米国の2事業所では、2012年1~9月の損失が7.78億€に拡大している。なおTyssen Krupp社にとって、これら2工場は、近代的設備であり、成長期のブラジルという立地にあり、米国自動車産業向けの販売が可能である等のメリットを有していたが、最近では、ブラジルでの半製品の生産と米国への供給といった、これまで同社が描いてた戦略が、最近のブラジルでの生産コスト上昇によって難しくなってきているという。米国の圧延工場の買収候補としてはNucor、Arcelor Mittal、US Steel、Severstal等の名前があがっている。
