ニュース・フラッシュ
2012年8月20日
ロンドン
小嶋吉広
南ア:WWFが酸性坑廃水問題についてのレポートを発表
2012年8月15日、WWF(世界自然保護基金)南ア支部は国内で顕在化しつつある鉱山からの酸性坑廃水問題に係る財政的側面からの分析レポート「Financial Provisions for Rehabilitation and Closure in South African Mining」を発表した。このレポートは、WWFがケープタウン大学に委託して行ったものであり、その内容によれば、現在の休廃止鉱山に係る基金積立制度は不十分であり、早急な改善が必要であると指摘している。
現在南アにおいては、鉱山操業者は坑廃水処理に要する費用を予め積み立てる法的な義務を有するが、この積立義務は十分に履行されておらず、また義務の内容についても不備が見られる。例えば、積立費用の算定は、鉱物資源省が2005年に策定したガイドラインに準拠しているが、その後インフレが発生したにも関わらず算定額の改訂を怠っているため、多くの鉱山で資金不足のおそれがあるとしている。
2009年時点で、義務者不存在鉱山による坑廃水処理費用は300億ランド(約36億US$)と見積もられ、今後、鉱山会社や政府が適切な対応を怠った場合、この額はさらに増加し、納税者への負担は一層増える可能性があると同レポートは警告している。
