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ニュース・フラッシュ

2012年8月23日 サンティアゴ 神谷夏実

チリ:CODELCO、Anglo Sur社オプション権行使に関し、Anglo Americanと和解

 CODELCOによるAnglo Sur社に対するオプション権行使問題に関し、CODELCOとAnglo Americanは、5月下旬から裁判手続きを中断し和解交渉を続けていたが、交渉期限の前日である8月23日に和解に合意した。
 この結果、CODELCOは、Anglo Sur社の株式24.5%を、18億US$で取得することで合意が成立した。さらに三菱商事は、2011年11月にAnglo Americanから取得した24.5%株式の一部である4.1%をAnglo Americanに8.95億US$で譲渡し、これにAnglo Americanが保有する0.9%を加えた5%を、CODELCOと三井物産が、Anglo Sur株式を共同保有のために設立した合弁会社Acrux社(CODELCO83%、三井物産17%)に譲渡する。三井物産はAcrux社に11億US$を出資することで、Anglo Sur社株式5%を取得する。この結果、合意されたAngo Sur社株式シェアは、アングロ50.1%(オペレータを継続)、三菱商事20.4%、CODELCO24.5%、三井物産5%となった。Anglo Sur社の役員会は、5名(Anglo American 3名、Acrux社1名、三菱商事1名)で構成され、Acrux社からはKeller CODELCO総裁が指名されたと報じられている。なお、三井物産は、CODELCOに対しオプション権行使に必要な資金約19億US$の短期つなぎ融資(3か月)を行うが、その返済の一部をAcrux社株式15.25%(Anglo Sur社株式4.5%に相当)で受け取ることを提案できる。CODDELCOがこれを認めれば、CODELCOのAnglo Sur社保有株式は20%に減り、三井物産の保有株式が4.5%追加され9.5%となる可能性がある。さらに、今回、三井物産は、CODELCOと包括的戦略提携に合意し、今後、新規ビジネスの構築を目指すという。CODELCOにとって、当初のオプション権49%の取得はできなかったものの、取得価格が下がったこともあり、チリ側メディア報道をみても、最終合意案に対し肯定的な報道がされている。なお、この合意内容に対し、CODELCO労働組合は反発する発言をしている。また下院の調査委員会は合意内容についての聴取を始めると報道されているが、今のところ大きな混乱に発展する可能性は低いとみられる。Anglo Sur社は、主力のLos Bronces銅鉱山(2011年の銅生産量は221.8千t)、El Soldado鉱山(同46.9千t)、Chagres銅製錬所(2011年の生産量は銅アノード138.2千t)を保有している。Los Bronces鉱山では、2011年Q4に総額28億US$の拡張工事が終わっており、今後約20万t/年の増産が予定されている。

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