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ニュース・フラッシュ

2012年10月19日 調査部 渡邉美和

中国:中国企業の海外直接投資のリスク高まる情報あいつぐ

 現地報道によると、中国企業の海外投資案件のつまづきの報道があいついでいる。
 2012年10月、中国ニッケル資源公司は、インドネシアでのニッケル鉱山と石炭鉱山の買収折衝について、2011年10月以来のインドネシアでの制度変更などによりコストが大幅に変動したとして、また、インドネシアの鉱業をめぐる環境問題などの動向が不明朗であるとして、これまで同公司が行ってきたインドネシアでの買収折衝を打ちきることを決定したと発表した。
 また、2012年10月15日、現地メディアは、中冶集団が豪州プロジェクトに関係して最高で29億元(4.5億US$)の賠償の可能性があると報道した。
 中冶集団は中信泰富の傘下企業であるSino Iron Pty Ltdと西オーストラリア州のSino 鉄鉱石プロジェクトについて、2007年8月に中国の技術、設備、労働力を用いることを前提にした17.5億US$の契約を締結していた。しかし、2011年末、中信泰富と中冶集団の間で完工見通しに関して紛糾を生じ、関係機関の仲立ちによりやっと双方は契約を継続することとなった。これに際して補充契約が結ばれ、中冶は2012年8月31日までに第一期の生産ラインを稼働させることになり、もしこれが遅れてSino 鉄鉱石プロジェクトが損失を被るとしたなら、中信泰富は賠償を請求することとなっていた。中冶集団の賠償額は最大で4.5億US$(29億元)に達する可能性もある。生産開始が遅れている主たる原因は中冶集団が請け負っている選鉱工程の遅れとされているが、プロジェクトの遅れには多くの原因がある。その中には経験不足や、天候不順や台風などが原因となった設備輸送の遅延なども含まれている。
 更に、中国の万向集団が出資交渉を行っていた米国の電池企業A123社が破産申請を行ったことにより、万向集団の動向が宙に浮いている。
 2012年10月16日、米国のリチウムイオン電池メーカーであるA123社は破産申請を行った。なお、同社の自動車用電池資産は既にJohnsonControle社に1.25億US$で買収されている。A123社に対しては、既に中国最大の自動車部品メーカーである万向集団が4.5億US$を出資して株式の80%を取得する協議が今年8月に成立していた。この移管作業はまだ完了していなかったものの、万向集団による援助が大きな意味を持っていた。また協議成立後1週間で万向集団はA123社に対して2,500万US$の資金を提供していた。最終的に破産となるか否かは決まっておらず、投資協議が継続するか否かも現時点で確認できないが、万向集団にとっては事業展開の大きな阻害となった。

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