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ニュース・フラッシュ

2012年11月7日 調査部 渡邉美和

中国:鉱物資源保有国の中国からの投資の勧誘、リスク認識が必要との意見も

 現地メディアの報道によると、2012年11月3~6日、天津で開催された2012年国際鉱業大会の席上、参会した20を越える海外鉱業国の鉱業担当相などから、中国からの投資を歓迎する旨のスピーチが続いていた。
 ここ何年かにわたって積極的に「走出去」(海外進出)政策がとられ、2010年末時点の中国の海外鉱業投資額は2,000億US$(注;フローかストックか不明、また、鉱業には石油石炭や鉄を含む)以上にも達し、80カ国、数千プロジェクトに及んでいる。投資主体(投資している企業など)も600以上である。2011年で見れば、中国の海外鉱産投資件数は284件、投資額は226億US$、投資主体は215である。2012年の上期では、わずかに64件に低下したが、民営企業によるものが67%を占めるなど、新たな傾向を示している。
 しかし、専門家は投資リスクの認識を提言している。投資は慎重に決定されるべきとしているのである。海外投資は前途有望と見られるが、思わぬ落とし穴もある。
 紫金鉱業の邸暁華副董事長は、「走出去」の成功を目指すなら、企業は法制や財税政策、環境保護、安全などのリスクを防止する方策を、まず立てる必要があると指摘している。
 天津中潤華隆有限公司の関係者も同社の長年にわたる海外鉱業投資の経験から、(中国とは)異なる法律や文化そして風俗や習慣を基にした(中国とは)異なる運営方式が必要であるとし、現地の社会的需要を基に立脚し、自身の発展と現地社会が共に有益になることを目指すべきとしている。資源の国際化のためには、国際的な思考法に基づき、資源の略奪と誤解されるような運営はなされるべきではないとして、現地で受け入れられるためには、CSRの履行や現地慈善事業への積極的な参加なども必要としている。

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