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ブラジル:高温と旱魃の影響で電力供給不安が高まる
メディア報道によると、ブラジルの電力消費量は予想を上回るペースで増加しており、特に2013年の夏季は、猛暑で消費量が増加しているうえに、旱魃の影響で水力発電所の水位が低下し供給不安が広がっている。ブラジルの電力供給の特徴は、水力発電が約80%と高い割合を占めることと、不足分をコストの高い火力発電に依存していることで、高い発電コストは産業界を圧迫している。水力発電依存率が高いため、発電量の季節変動、旱魃の影響が大きく、代替となる火力発電燃料である石炭、天然ガスの輸入依存率が高い。一方、Angra1号機及びAngra2号機を運転するElectronuclear社による2012年の原子力発電量は16 TWh(160億kWh)に達した。ブラジルの全発電量の約3%に相当する。
民間シンクタンクの調査では、ブラジルの2012年の総発電量は、553 TWh(5530億kWh)で、このうち水力発電が約80%の442.5 TWh(4,425億kWh)を占めた。2021年までの電力需要について、年平均4%程度で増加し、2021年に830 TWh(8,300億kWh)程度に達すると推定されている。ブラジルでは、2001年に大規模な停電が起きているが、2007年の大統領選において、当時の労働者党(PT、現与党)は、電力供給問題の解決を公約にして政権獲得に至った経緯から、電力問題での失敗は許されず、1月に入り鉱山動力省も電力問題に本格的に取り組みを始めている。政府は今後電力料金を20%程度引き下げる目標を掲げている。政府は今後の電力供給確保のために、新規原子炉としてAngra3号機の建設を計画する他、新規大規模水力発電プロジェクトとして、Belo Monte、Santo Antonio、Jirauの3案件の建設をアマゾン地域で進めているが、アマゾン地域での開発は、環境問題、先住民等による反対運動にも直面している。
