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ニュース・フラッシュ

鉱種:
鉄鉱石
2013年1月18日 サンティアゴ 神谷夏実

ブラジル:ThyssenKrupp社傘下CSA社買収で、鉄鋼大手CSNが38億US$のオファー

 メディア報道によると、ThyssenKrupp社によるCSA(Companhia Siderurgica Atlantica、ブラジル)社及び圧延工場(米国アラバマ州)の売却で、ブラジル鉄鋼大手CSNが38億US$のオファーを行った。米国圧延工場の売却には、Arcerol Mittalも関心を示しており、15億US$の買収オファーを行ったところであるが、そのニュースが流れた直後に、CSNがCSA社と圧延工場の両方を対象とした買収オファーを行ったものである。対象資産はCSA社の製鉄所(Rio de Janeiro州、製鉄及び鉄鋼中間製品生産の一貫製鉄所)及び米国圧延工場(アラバマ州)である。CSNは、この買収オファーにあたり、ブラジル政府も関心を示し、ブラジル開発銀行(BNDES)の投融資による支援が行われる可能性もあり、市場関係者は、この買収オファーはCSNに有利に動くのではないかとみている。CSA製鉄所は、ThyssenKrupp社が、Valeの誘いで建設したもので、生産能力は5百万t/年(250万t炉×2基)。保有シェアは、TyssenKrupp社73%、Vale 27%で、原料の鉄鉱石及び鉄鉱ペレット8.5百万t/年は、全量Valeが供給している。製鉄所で生産した半製品を、ほぼ同時期に米国に建設した圧延工場(アラバマ州)に持ち込み、米国市場向けの自動車鋼板等を売り込む計画で、ブラジルの鉄鉱石資源と半製品生産、米国での自動車鋼板の生産を組み合わせ米国市場に迫る戦略であった。しかし、製鉄所建設コストが計画の30億€から約52億€に大幅にオーバーしたうえ、操業状況が悪く現在でも稼働率は70%程度とされている。なお、CSA製鉄所及び米国圧延工場の簿価は約70億€(約90億US$)とされている。

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