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ニュース・フラッシュ

2013年2月5日 サンティアゴ 神谷夏実

ブラジル:Anglo American、他の資源メジャーと同様に、大型プロジェクトを減損処理

 メディア報道によると、Anglo Americanは、現在建設中のMinasRio鉄鉱石プロジェクトの減損処理を行う。同プロジェクトは、2007年にMMX社から52億US$で買収したものであるが、当初、初期投資コストを30億US$で2010年の操業開始を目指していたが、その後初期投資コストが88億US$まで膨らんだもので、減損額は40億US$になるという。本プロジェクトには、鉱山関係設備の他、鉱石輸送パイプライン(525 km)、São Joao da Barra市にあるAcu港の施設建設等から構成され、現在のところ操業開始は2014年を予定している。Anglo AmericanのCaroll社長は2013年4月で退任するが、本プロジェクトの対応も退任に影響を与えたとされる。同社は1月始めにMark Cutifani新社長(現AngloGold Ashanti社長)の人事を発表したばかりであるが、新社長の初仕事は、MinasRioプロジェクトの立ち上げとなる。同プロジェクトの現在の進捗率は、鉱山施設46%、選鉱処理施設53%、パイプライン66%、Acu港施設52%とされる。未解決の問題として、ライセンス取得(約300件のうち、17件が未取得)、土地収用、洞窟遺跡対策、廃さいダム建設等がある。また、2012年には、3件の民事訴訟が起こされ、これにより鉱山建設工事が3月から9月、送電線工事が4月から12月にかけて中断した経緯があり、こうした工事中断が建設コスト増大につながったものとみられる。

 なお、最近、欧州企業を中心に買収に関連した「のれん」の会計処理を加速するケースが増加している。昨今の資源ブームの中で繰り広げられた大型買収が、高額なプレミアを含み評価損が拡大しているもので、経営陣の責任を問うケースも増加している。業種別では、自動車、金属、銀行、保険等が多いとされる。Rio Tintoは加アルミ大手Alcanの買収(2007年、380億US$)、モザンビークの石炭プロジェクトに関係した140億US$の減損処理とAlbanese社長の退陣を発表している。また、BHPも、2012年に、米国のシェールガス資産買収(2011年)及び豪州ニッケル資産買収(2005年のWMC買収)に関連する減損処理33億US$を発表したが、同時に社長交代の準備を進めているとされる。

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