ニュース・フラッシュ
2013年3月8日
サンティアゴ
神谷夏実
ブラジル:議会、石油ロイヤルティ配分に関する大統領拒否権を否決
メディア報道によると、上院、下院は、3月7日、石油ロイヤルティを27州に広く配分することを定めた石油ロイヤルティ法案について、大統領が拒否権を行使したことに対し、両院がこれを覆す議決を行った。これにより、議会では、石油ロイヤルティを広く全州に配分する意見が優勢であることになり、今後の鉱業ロイヤルティ改正法案にも影響を与える可能性で出てきた。本法案に対し、産油州であるRio de Janeiro, Espirito Santo、Sao Pauloの3州は、ロイヤルティ配分の変更は憲法違反であり、石油開発業者と締結している契約にも反するとし、最高裁に提訴する構えを示している。特にRio de Janeiro州は、鉱業ロイヤルティの減収により、ワールドカップ(2014年)、オリンピック(2016年)の開催に支障が出ると警告している。
石油ロイヤルティの配分は、当初「プレソルト法案」(2010年12月可決)に含まれていたが、当時のLula大統領は、非産油州への配分が多すぎるとして拒否権を行使したため、ロイヤルティ条項が新たな法案として継続審議されてきた。この結果、2012年11月に新法案が可決されたが、既存鉱区に係るロイヤルティ配分について、Rousseff大統領が再び拒否権を行使していた。ブラジル石油庁(ANP)は、2013年5月に第11次の石油・天然ガス鉱区の入札(289鉱区)を実施する予定であるが、この計画に対する今回の議決の影響はないとされる。この入札は、深海鉱区を含むもので、2008年以来初の入札の実施となる。産油3州は、石油ロイヤルティ歳入が減少する場合、独自の新税を課税することも検討しているとされる。
