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ニュース・フラッシュ

2013年3月14日 調査部 渡邉美和

中国:特殊鋼生産動向予測

 ニッケルやクロムそしてタングステン、バナジウムなどを添加する特殊鋼の動向について最近の中国の現地メディアは以下のように報じた。

 中国の特殊鋼生産量は2015年に6,830万tとなる見込み。2011年、35社の特殊鋼企業の合計ではその粗鋼生産量は10,389万tで、前年比10.2%の増加であった。35社の重点特殊鋼企業(注;前行の「35の特殊鋼企業」とは表現が若干異なるが同じ対象を指すか)の鋼材生産量は合計で10,055.4万t、前年比8.59%の増加であった。この内、普通鋼材は3,081.6万t(前年比+11.27%)で鋼材総量に占める比率は30.65%であった。また、優質鋼材(渡邉注;定義不明)は3,486.5万t(同+8.10%)で鋼材に占める比率は34.67%、更に特殊鋼材は3,039.3万t(同+6.11%)で鋼材に占める率は30.23%であった。特殊鋼材の内、特殊合金鋼材(渡邉注;定義不明)の、生産量・対前年比増減・鋼材に占める比率は、それぞれ、2,136.6万t・+9.28%・21.25%、ステンレス鋼がそれぞれ、448.0万t・+11.73%・4.46%であった。

 特殊鋼材の新利用分野は超超臨界の火力発電や原子力発電用の鋼材にも及ぶ。産学研での研究開発が見られるが、まだ完全な体系化には至っていない。

 自動車と機械産業は伝統的な特殊鋼利用の主要分野である。中国特殊鋼協会の統計によれば、現在の中国の特殊鋼消費の分野別比率では、自動車がその40%、機械が32%を占めている。この内機械産業については、2015年末までに特殊鋼の新増需要は950万t生じると見られる。自動車分野での特殊鋼消費は主にその生産量に比例するが、維持補修用の部品もそれ以外にある。中汽協 (注;原文のママ、中国自動車工業協会の略か)の推計では2015年の中国の自動車生産能力は2,500万台/年となり、このほか特殊鋼消費分野として鉄道等の軌道交通分野があり、この分野で第12次五カ年計画期間(注;2011~15年)に特殊鋼需要量280万t、海洋エンジニアリングで同期間に1,500万t、エネルギー産業で200万tなどと予測されている。また、同期間で原子力発電分野では60万tに過ぎないものの、風力発電でもたらされる特殊鋼需要は同期間で140万tに達するとも見られている。

 予測が示している特殊鋼需要の大きなシェアを占める機械や自動車産業にとってなお部材のボトルネック問題がある(注;特殊部品は輸入に頼らざるを得ないとの意か)。この部材ボトルネック解消がこれら産業での第12次五カ年計画のキーである。高付加価値の特殊鋼産品の研究開発と生産は国の奨励する重点発展動向でもある。

 現在、特殊鋼の粗鋼生産に対する率は5%に満たない。しかし、こうした発展要因を考慮すると、第12次五カ年計画末での同率は10%に達する可能性がある。これまでの粗鋼生産量2010年で6.83億tをベースとして仮定しても2015年には特殊鋼生産量は6,830万tに達する。

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