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- 銅 ベースメタル
ぺルー:Tia Maira銅プロジェクト反対運動の動向
2015年4月28日~5月3日の地元各紙によるTia Maira銅プロジェクト(Arequipa州)反対運動の動向は次のとおり。
2015年4月27日、Ortizエネルギー鉱山大臣は、国会において、政府はTia Maria銅プロジェクトに関する住民への説明責任を果たしたとし、対話による社会争議の解決に期待を表明した。Ortiz大臣は、これまでに複数の大臣がArequipa州Islay郡を訪問し同プロジェクトに対して寄せられた質疑への回答を行ったとしたほか、農業や鉱業に関する作業会が立ち上げられたと説明した。さらに大臣は、Tia Maria銅プロジェクトの第2回目の環境影響評価(EIA)は、あらゆる指摘や問題箇所をクリアした上で承認されたものであることを説明した。
2015年4月29日、Pérez Guadalupe内務大臣、Pulgar Vidal環境大臣、Ortízエネルギー鉱山大臣、Benitez農業大臣がArequipa入りし、プロジェクト反対派代表者らとの協議会が行われる予定であったものの、プロジェクト反対派のIslay郡知事、Cocachacra村、Dean Valdivia村、Punta de Bombom村の村長らが突然会場を立ち去ったため、協議は成立しなかった。4名の知事や村長が協議会会場から退場したのは、Arequipa州選出の国会議員4名が協議会に出席していたためとされ、政府の代表者のみの出席を要求していたプロジェクト反対派は、国会議員(Solorzano議長、Rondón議員、Eguren議員、Falconí議員)らの存在に気づくとほぼ同時にその場を退場した。Arequipaを訪問した大臣らは、Islay郡知事や村長らの突如の退場は、非常に無責任な受け容れ難い行為であるほか、これら指導者に対話の意思が皆無であることの表れだとして批判した。
2015年4月30日、Tia Maria銅プロジェクト反対運動の中心地となっているIsalay郡Dean Validivia村で、約100名のデモ隊により警察署が襲撃され、警察官約20名が負傷した。
同日、プロジェクト反対派の郡知事や村長らは、文書によって前日の対話協議会からの退場の理由を説明すると共に、Arequipa州知事に対して対話プロセスの再開と、数日内における対話協議の召集を要請した。一方、政府はTia Maria銅プロジェクトEIAの審査委員会を立ち上げることや、対話実施中は鉱山建設工事を行わないことなどを提案するなど、歩み寄りの姿勢を示している。
この状況についてペルー鉱業石油エネルギー協会のGalvez会長は、2015年4月30日の地元紙のインタビューにおいて、Tia Maria銅プロジェクトの第2回目のEIAに関しては、承認に至るまでの住民説明会やワークショップ、公聴会等のプロセスで争議は発生しておらず、対話が成立していたにもかかわらず、EIA承認後、急激に反対運動が広がったとコメントした。また同会長は、反対運動にはNGOからの資金提供を受けているTierray Libertad党等、外部の団体が介入していることなど、Minas Conga金プロジェクト反対運動と共通点が多いと指摘した。さらに、地域住民は政府、民間企業のいずれも信用しておらず信頼関係が失われてしまったことから、対話の成立は困難となる見方を示した。さらに、環境省によって、エネルギー鉱山省によるEIA審査は有効でないとの考え方が広まったと指摘した。
2015年5月3日付け地元紙によると、Benites農業大臣は、Tia Maria銅プロジェクト反対派との対話再開には、ストライキや暴力行為の停止が前提条件であるとの考えを示した。さらに、政府代表団は遅くとも2015年5月5日にはArequipa入りするとの見通しを示し、政府の意図は、Islay郡における公的秩序を回復し、プロジェクト賛成・反対含め全ての人々の権利を保障し、透明性のある真の対話を確保することであると説明した。
Tia Maria銅プロジェクトに対する反対運動は、2015年3月23日の開始以降既に40日以上が経過し、中央政府はこれまでに6度に亘って対話を試みているが、合意形成には至っていない。