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ニュース・フラッシュ

2015年5月25日

メキシコ:土地関連法改正により鉱業やエネルギー等への投資誘致を狙う

 2015年5月14日付け業界紙等によると、メキシコ政府関係者は、同国への投資を積極的に誘致し経済の活性化を図るため、土地所有者と民間企業との間における土地の取引に関し、民間企業の地権確保を安定化させることを目的とした土地関連法改正による土地改革を実施する計画を明らかにした。

 政府関係者及び与党制度的革命党(PRI)関係者によると、昨年成立したエネルギー改革関連2次法によりエネルギー分野への民間参入が可能となったが、投資家に対して投資を行う際の土地取得を容易にするために土地関連法を改正することを検討している。メキシコ政府としては、土地改革により、鉱業、観光、エネルギー、輸送、農業等各部門への投資誘致を促進し経済成長を図ることを狙いとする。土地関連法の改正案は本年9月に開会される通常国会に提出され審議される予定である。土地関連法改正による土地改革に際しては、土地所有者からの反発を招かないよう適正かつ均衡を維持しつつ、民間企業等開発者の権利を確保する必要がある。特にメキシコの人口の約半数は貧困状態にあり、その大部分が農村部等地方に居住している一方、メキシコではエヒードと呼ばれる農地所有者に対してはこれまで長きに亘り権利を保護してきた経緯を有する。なお、土地に関する行政監督官庁である農地土地都市開発省(SEDATU)によると、メキシコ全土の半分以上の土地が共有地所有者による管理下にあると言われている。

 Enrique Peña Nieto大統領は、土地改革に対しては特に左派グループを筆頭として相当程度の反対運動が起こるものと予想しているが、もし土地関連法を改正し投資家への十分な保障を付与しなければ将来に亘り投資誘致が進まず雇用確保の機会を喪失するとの見解を示した。

 また、中道右派である国民行動党(PAN)のFrancisco Garcia Cabeza de Vaca上院議員兼上院土地改革委員会長によると、地域開発を改善するために経済活動を行う者に対し法的確実性を付与することは必要不可欠である一方、民間企業とエヒードとが協力関係を維持できるよう双方に対し権利を付与することは土地改革において大きな課題である。

 一方、農畜水産農村開発食料省(SAGARPA)の報道官によると、SAGARPAはSEDATUとともにエヒード等に対し農業生産性の向上と土地の権利確保に資する施策を展開している。

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