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メキシコ:メキシコは鉱業に係る紛争件数が中南米諸国でトップ
2015年5月19日付け業界紙等によると、先頃発表された報告書「ラテンアメリカ鉱業紛争に係る展望(OCMAL)」において、本年メキシコにて鉱業企業と地域コミュニティとの間で発生した紛争件数が、半年にも満たないにもかかわらず2014年の1年間で発生した29件を上回る36件に達している旨を報告した。
同報告書によると、メキシコにおける紛争件数は鉱業活動を行っている中南米諸国19か国中トップで、ペルー及びチリが35件ずつでこれに続いており、これら3か国の合計が中南米諸国全体の50 %を占めるに至っている
メキシコにおける最近の紛争案件としては、Zacatecas州における加First Majestic Silver社(本社:バンクーバー)とChalchihuitesコミュニティとの紛争案件、Baja California Sur州における海洋探査企業の米Odyssey Marine Exploration社(本社:タンパ)が関与する紛争のほか、Michoacán州ではTernium社が保有するAguila鉄鉱山において先住民コミュニティとの紛争が発生しており、本件に関しては共有地所有グループによる30日間の封鎖により操業一時停止に陥っている。
Ternium社の顧問弁護士によると、メキシコは2014年1月に鉱業特別税等が施行されたことにより、他の中南米諸国と比較して税制面で不利な状況となっている。一方、鉱業特別税等が施行され今後新税による税収入が各州政府や各自治体へ配分され、各行政機関を通じて地域コミュニティに対し富の還元が行われることとなる。しかしながら、従前各鉱業企業は地域コミュニティに対し個別に対応してきたが、鉱業特別税等の施行による行政機関を通じた富の移転・還元は、鉱業企業と地域コミュニティとの距離を広げることを意味しており、今後益々紛争が発生することが懸念される。
